先々月、トーキング・ヘッズの80年代のMTVを紹介しました。
http://s.ameblo.jp/ryusyun-sun/entry-12024492825.html
今回はピーター・ガブリエルのMTVを観てみようと思います。
あまり、音楽的なことについては語りません。
映像を単純に楽しんで頂ければと思います。
当時、ピーター・バラカンの「ポッパーズMTV」で放映していたビデオクリップの中ではトーキング・ヘッズと並んで、凝った作りで印象に残っているのがピーター・ガブリエルでした。
Peter Gabriel (1950-)
まずはピーター・ガブリエルのヒット曲と言えば誰もが思い浮かべる1986年7月26日付のビルボード・シングル・チャートで全米No. 1となった"Sledgehammer"から観てみましょう。このPVは1987年のMTVミュージック・ビデオ・アワーズのベストビデオに選ばれています。
このコマ撮りのアニメーションを多用して作られた映像作品はスティーヴン・ジョンソンという人を監督に起用して制作されたそうです。
このピーター・ガブリエルのPVもヘッズ同様、「アートとお笑いの融合」という同じコンセプトで制作されているようですが、素材としてのデヴィッド・バーンの真面目くさった顔と変な動きに対して、ピーター・ガブリエルはプログレ・バンド出身の人の割にはアイドル系の顔をしているし、ボーカルもデヴィッド・バーンのヘナヘナぶりと比べると力のある、黒っぽいボーカルです。
同じようなことをやっていても、独特のキャラクターのデヴィッド・バーンの方が笑えてしまいますね。
バーンが素のままでおかしい天然タイプの芸人とすると、ピーターは芸達者なタイプの芸人というところでしょうか。
いや、二人ともお笑い芸人ではなくミュージシャンでしたね。
"Sledgehammer"という曲自体はいま聴いても、いいR&Bナンバーですね。
意外とプログレ・バンドの人の中にもブルースやR&Bに造詣のある人っているんですよ。ピンク・フロイドのデイヴ・ギルモアなどもギター・プレイのベースはブルースですもんね。"Shine On You Crazy Diamond"でも、かなりブルージーなギターを聴かせています。あの曲はピンク・フロイド流のブルースですよね。
さて、ピーター・ガブリエルが在籍していたジェネシスというバンドですが、一般的にはフィル・コリンズがリード・ボーカルのポップなサウンドのイメージが強いと思います。
ピーター・ガブリエルがフロントマンとしてリード・ボーカルをとっていた頃のジェネシスはピーターの演劇性を持った独特のステージ・パフォーマンスで人気が高く、プログレッシブ・ロックのバンドとしてはピンク・フロイド、キング・クリムゾン、イエス、EL&Pと並ぶほどの存在でした。
こちらがジェネシス時代のステージ衣装とメイクアップ。
奇抜ですなあ
当時のステージ風景
このコスチュームが一番、凄い。
もう、誰なのかすら判りません。
この頃から、すでにピーター・ガブリエル・ワールド全開です。
1975年にピーター・ガブリエルが脱退した時は、誰もがジェネシスはこれで終わりだと思いましたが、まさか、後ろでドラムを叩いていたさえない小肥りの男、フィル・コリンズが主導権を握りジェネシスをピーター・ガブリエル在籍時以上の成功に導こうとは、この時は誰も想像できませんでしたね。
さて、次のPVも"Sledgehammer"に負けず劣らずの凝った映像で印象に残っている"Big Time"
"Sledgehammer"と同じく、大ヒット・アルバム『So』の収録曲。
これもコマ撮りのアニメを使用しています。
特に粘土を使ったクレイアニメの部分は大変だったでしょうねえ。
クレイアニメというのは、1コマ撮影するごとに粘土に手を加え、数分の1秒間分の動き(!)を加えるという制作方法をするそうです。
気の遠くなるような作業ですよねえ。
ピーター・ガブリエルという人は本物の奇人変人というよりは、人とは違う変わったことをやって目立ちたいというタイプの人だと思いますね。
ジェネシス時代は奇抜なステージ衣装とメイクアップでやっていたことを、新たにPVという自由度の高い表現手段を得て活き活きと「目立ちたがり」ぶりを発揮しているという感じがします。
PV(プロモーション・ビデオ)というのは、本来、CDの販売促進のために制作されるものなんですが、彼の場合は完全にPVの制作自体が目的化されてますね。
ピーター・ガブリエルの有名曲としては他に"Shock The Monkey"やケイト・ブッシュと共演した"Solsbury Hill "などがありますがPVがさほど面白くないので取り上げません。
この"Steam"という曲は1992年の作品。MTV番組が、もう放映されてなかったのだと思うので、PVを観た記憶はありませんが、YouTube上で見つけた中では面白かったので採用です(笑)
さすがに、この頃になるとCGがバッチリ使われてますね。
CGを使えば、どんな映像も思いのままですが、なんかクレイアニメのほうがインパクトが強いのはなぜでしょう?
電気的な音でも、打ち込み音よりも人の手で弾かれる楽器の音の方がエモーショナルなのと同じかな。
この中のサウナで美女達と戯れて、鼻の下を伸ばしているシーンをデヴィッド・バーンが演ったら、メチャクチャ面白かったと思いますね(絶対やらないでしょうけど)
さて、この前のトーキング・ヘッズとピーター・ガブリエルのPVを観比べてみて、こう感じました。
一見すると似ているように思える両者、どちらもビジュアル・アートやワールド・ミュージックへの志向性という共通の傾向を持っているのですが、資質的にはデヴィッド・バーンはアーティスト(芸術家)タイプの人ですが、ピーター・ガブリエルは芸術家タイプというよりも優れたシンガーでありエンターテイナーであるということですね。
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いや、私は持ってないのですが。
ところで、
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さて、ブログタイトルが「アップル・ミュージック音楽生活」に変わるのかどうか…