大木 毅の本。

まず一言、第二派攻撃はそもそも無かったのか。

さて、久しぶりに第二次大戦物の小説を読んだので、その流れでずいぶん前から気になっていたこの本を買い込んでみた。
そして何よりも驚いたのは、日米開戦の発端となったハワイの攻撃の際に、そもそも第二派攻撃が出来る状況ではなかったらしいと言うところだろう。
南雲中将が引き返すよう命令したとか色々書かれているが、一撃するつもりしかなかったらしいと、最近の研究で明らかになりつつあるとか、

さて、この本にはいろいろな指揮官が出てきているが、名前も知らない人というのも何人かいた。
インパール作戦で活躍した将軍などが最も顕著だろうか。
牟田口連夜については割と知っていたのだが、その相手方はこの本を読むまで知らなかった。

ただ残念なこともある。
それはイタリア軍の指揮官が全然出てこなかったことだ。
イタリア軍の将軍とか有名な軍人とか全く知らないので、是非取り上げてもらいたかったが、まあ、仕方が無いのだろう。

さて、この本を読んでいて直感じたのは、特に日本軍に言えることなのだが、組織としてきちんとしていない感じが強いと言う事。
南雲中将のように全く畑違いの部署に飛ばされて、いきなり大作戦を統率されたり、辻政信がなんだかんだ好き勝手やっていたりと、組織としてきちんと機能していないように思った。
この本に書かれていないだけで、米国や英国でも有ったのかも知れないが、それは致命的な問題にはならなかったのだろう。
ある意味当時の日本軍は戦争することが出来る組織では無かったのだろう。
今の自衛隊が同じ道を歩いていないことを祈るばかりだ。

そして最も注目すべきところは、最後に現代の指揮官について書かれていた場所だろう。
戦争全体を設計し、終戦までの道筋を作ることこそが名称の条件だと書いているが、これには深くうなずいた。
戦争全体としては、政治家の仕事と言えるかも知れないが、高級軍人は半分以上政治家であるべきだし、そうで無ければ戦えないのが現代の戦争なのだと思う。


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