【2223字】運命が変わった場所:教職大学院|#10 入学式 | 回想ノート

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運命が変わった場所

 

大学の入学式と、教職大学院の入学式は、雰囲気が180度違っているものだなぁ、と思ったのが、正直な感想である。

 

大学の入学式、並びに、指定された部屋に移動しての「ガイダンス・イントロダクション」の時は、この表現が相応しいか怪しいのだが、おちゃらけたムードというか、なんというか・・・、とにかく、ソワソワしている感じや、ウキウキしている感じが、充満していた。

 

僕も御多分に洩れず、その一人だったと思う。なぜなら、筆記用具を忘れるぐらいのテンションの上がりようだったのだから。周りから見れば浮かれていたのであろう。近くに座っていた初対面の人にペンを借りる始末。ちなみにその人とはそれが縁で仲良くなった。人付き合いのキッカケって、どこに転がっているか分からないものだ。最近は連絡していないけど元気にしているかな。Twitterのタイムラインで見かけた時は、大体、ポケモンカードの話をしている。夢中になれるモノがあるのは良いことだ。

 

それはさておき。

 

教職大学院の入学式、並びに、指定された部屋に移動しての「ガイダンス・イントロダクション」は、前述した”おちゃらけたムード”は、一切、感じなかった。みんな、自分とは比べ物にならないぐらい、”優秀な教師の卵”にしか見えなかった。僕もその空気に置いて行かれぬよう、優秀そうな立ち居振る舞いを心掛けた。具体的には、背筋を伸ばしたり・・・背筋を伸ばしたり・・・。(油断したら猫背になるのを内心気にしているタイプ)

 

やはり、大学の4年間を経験した上で入学している、というのもあってか、手取り足取り、というよりも、必要最低限の説明をテキパキ行なって、あとは各自でどうぞ(各コースごとに自習室が設けられている)、といった感じで、自主性に任せているのが印象的だった。大学と比べると「あれ?ホントに入学式?」ぐらい、簡素だったかもしれない。大学院の入学式って、大体、こんなものなのかもしれないが。

 

僕は、右も左も分からぬ状態で、「自習室」と呼ばれている周辺の場所を散策してみた。みんな、僕と同じ境遇のはずなのに、僕よりも、ずうっと前から在籍していたかのような、落ち着きを感じる人ばかりだった。いや、もしかしたら、相手の目から見た僕も、そんな風にうつっているのかもしれないが。僕は、内心ソワソワしながらも、それを悟られぬよう、”泰然自若感”を装っているだけに過ぎないのだから。そのせいで、人によっては「声を掛けづらい」「近寄りがたい」「怖いオーラ出てる」などと言われるのだから、直すべき悪癖かもしれないが、慣れない場所に行くと、無意識的に発動してしまうのだから、困ったものだ。

 

毎度のことだが、関係を築き始める初期段階は、何度体験しても難しいなぁ、などと思っていると、

 

「あのさ、控室に居る時、同じ部屋に居たよねっ?」

「あっ、えぇっと・・・。あの・・・。」

 

不意に、同じコースの女性に、声を掛けられた。僕はドギマギしてしまった。初対面の異性の方から声を掛けられることに慣れていないのである。すぐさま返事出来たら良かったのだが、ちょっと、どもるような感じで、口ごもってしまった。

 

控室に居る時、というと、入学式の諸々で、コースに所属している人が一斉に移動するのではなく、数組に分けて移動する際に、通された部屋のことだった。そこに待機している時は、「新入生歓迎会(俗に言う新歓)のお知らせ」という張り紙のことに意識が向かっていて、「これは参加しておかないと親睦を深めるのに遅れをとってしまうやつだよなぁ…。」などと考えながら、とりあえずスクショしておいて、あとは、そのことばかり、悶々と考えていた。周りの人のことは一切気にしていなかったのだ。

 

「あの時、新歓のことが気になってて、ちょっと・・・。」

 

正直に「覚えていなくてごめんなさい」という風に、ペコリと頭を下げると、彼女は、嫌な顔一つせず、むしろ、笑顔を浮かべながら、「アハハ、いーよ。そんなこと。新歓ね~、行った方が良いんだろうね~、やっぱり」と、僕に話を合わせてくれた。あの瞬間、「あっ、この人、良い人だ…。」と、直感的にも思ったことを、今でも記憶している。それも、鮮明に思い出せるほどに。

 

彼女は、僕がこれまで知り合ってきた女性とは異なる、言葉の使い方・発し方をしていた。「あのさ」とハッキリ発音する女性は彼女以外に思い出せないし、「アハハ」とハッキリ発音しながら笑う女性もまた、彼女以外に思い出せない。それがなんだか新鮮で心地良かった。あと、話すテンポも緩やかだった。それも相まって、彼女と話している間は、時間の流れまでも、緩やかに過ぎていくようだった。

 

その場の流れで、軽く雑談に興じた。お互いの出身地を知り合うことも出来た。彼女は青森出身だった。青森生まれの知り合いは初めてだった。なので、彼女のみ、サンプル数は1なのだけど、青森に対するイメージが飛躍的に向上したのは、言うまでもない。我ながら単純だなぁと思う。

 

紆余曲折あって、今では、彼女の近況は分からないし、連絡を取り合うような仲でもないのだが、またどこかで会えたらいいなぁ、と定期的に物思いに耽る一人である。

 

テレビ等を見ていて、青森が取り上げられていたら、まずはじめに、彼女のことを思い出す。

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