八月納涼歌舞伎第三幕『紅葉狩』『愛蛇姫』を観劇する。
オペラ版(とても奴隷とは思えないようなムチムチのアイーダだった・・・)と
宝塚版『王家に捧ぐ歌』 を見たことがあったので、ちょっと比べて見てしまったが。
野田版『愛蛇姫』 作演出:野田秀樹
濃姫:中村勘三郎・愛陀姫:中村七之助・木村駄目助左衛門:中村橋之助
斎藤道三:坂東彌十郎・祈祷師荏原:中村扇雀・細毛:中村福助・織田信秀:坂東三津五郎
美濃と尾張に舞台を移し替えており、原作パロディーの笑いを入れつつ、
作品自体のエッセンスを歌舞伎版にもきっちり取り入れた
充実したアイーダだったかと思う。
定着している有名な音楽を使うことなく、歌舞伎で、戦国時代で、と制約も多く
物語をきちんとはめ込むことに気を遣いすぎているのかな・・・?
と前半は思ったけれども、
後半は伏線を通じて盛り上がりを見せたのと、
物語の弱点を勘三郎さんがきっちり補完しているという印象を受けた。
その伏線となっている二人の占い師
荏原:中村扇雀・細毛:中村福助(江原と細木か・・・?)が何とも不気味で、
濃姫や民衆に祭り上げられて発した予言が真実となり、
社会を動かしていく不気味さが、
なんとも現代劇っぽくて、歌舞伎と絶妙にマッチしていた。
これは、今読んでいる『20世紀少年』とちょっと、テーマが似ているかも。
濃姫(アムネリス)の「自分の目で見たものを信じる」という、芯の通った台詞も潔く、
ラストに通じる織田信長との婚礼に向かう凛々しさはいじらしい。
恋情にうかされる濃姫はアムネリスより娘らしい印象を受けた。
勘三郎さんの押さえた芝居は、圧巻。
愛陀姫(七之助)・木村駄目助左衛門(橋之助)の地下墳墓でラストシーン。
透明な風船がゆらゆら、舞い上がる。
あれだけ、密な人生を送って死を迎えても、
人の魂やら一生とは等しく軽く浮かんでしまうものだし、
だからこそ、救いのある開放的な場面で、夢のように美しかった。