69年という時代 | 柳緑の歌~リュウリョクノウタ

柳緑の歌~リュウリョクノウタ

本と音楽と映画のことについて、マイペースに綴っていこうと思っています。

映画「無伴奏」を見ました。「火村英生の推理」火村役の斎藤さんが出られていたので見に行きました。
簡単にこの映画を説明すると、主人公の女子高生・響子が初めての恋によって大人へと変わっていくという物語です。…表向きは。しかし、根底に流れていたのは、男二人の行き場のない愛の物語でした。伏線は散りばめられてはいるんですが、ミスリードもあって最後まで見ないとわからなかったです。
話の肝は何と言っても響子の恋人・渉とその幼なじみ裕之介。二人は親友である以上にお互いを狂おしいまでに求めあっていました。現在はまだまだ抵抗感はあるとはいえ、多少同性愛に対して理解が進んでいますが、69年前後では、渉と裕之介が共に生きることを選べなかったのは仕方なかったのでしょう。でもそのせいで、二人のそれぞれの恋人が不幸になってしまったのがやるせなかったです…。二人がもう少し器用だったなら、二人が互いを選ぶ覚悟を決めていたなら、と思わずにはいられませんでした。
原作はまだ未読なので、また読んでみたいと思います。