ふと時計を見ると朝の八時半過ぎだった。「会社に行かないと」と思った。
最後に在籍していた会社は十数年前に倒産していた。そのあとは非正規雇用で各職場を点々としてきた。
その記憶が一方では存在しているのに、何故か会社に行かないと思い詰めている会社は正社員だったころの職場だった。
ふと定期を見ると、先月の4日で切れていた。定期券を買わなければならない。でも、カネがない。どうして、カネがないのか?
遅配だ。6ヶ月遅配していることを思い出した。
「カネがないので定期券が買えない。給料が遅配しているためだ。だから出社できない」と電話連絡すれば良いのだ。
少し気が楽になった。