2018年10月イギリスの職業別自殺者の統計によると最も自殺者が多いのは獣医師だと...これはスイス日刊紙(NZZ)やアメリカの獣医師ジャーナルにも載っていた。獣医師の自殺率は他の職業の4倍にも昇る。

 

獣医師は日々瀕死や重篤な動物診療をする事が多く死に至ると「助けてやれなかった...」と自己嫌悪や無力感に陥る。人間の医師と比べると死の現場に直面するのは5倍と高い。

 

症状が末期で どうする事もできない状態で「助けてください!」とすがるように 駆け込んで来る現場。毎日毎日 何頭もの動物の死に立ち会い 泣き崩れる家族を目の前にして胸が締め付けられる思いをする。時には理不尽な安楽死を強要され 修羅場のような現場で 致し方なく自分の手で注射をし命を断つことへの罪悪感。愛するペットの死を受け入れられず「殺された」と 詰め寄る飼主。更には 生死に関係なく価値観の違いから金銭トラブルなどは日常的に起こっている。

 

このような現場にいる獣医師は診察の度に同情し飼い主に共感し自分を責め続けやがてうつ病になる...物言わぬ患畜を診て的確な診断を下さなければならない責任は大きくその重さに耐えられずうつ状態に陥り自ら命を絶つという悲しい現実となってしまう。

私は元来 明朗快活な性格だがいつからだろうか...ふと考えると笑ってない自分に気がつくことがある。それは私なりのセルフコントロール「感情移入」しないということだ。目の前の症例を淡々と冷静沈着に診察していくことで自分を維持している。

 

先日小学校に出前授業に行って獣医師の素晴らしさを語ってきた。なりたい職業のベスト7位が獣医師なのに、自殺者の多い職業の1位が獣医師。この現実も含めて子供達に【命と向き合う】ということを教えることも使命なのだろう