平成28年度 九州動物学院入学式理事長祝辞 2016.4.7

新入学生そして編入学生の皆さん、ご入学おめでとうございます。
皆さんの門出に、私から三つことをお話したいと思います。

まず初めに、私の「建学の精神」についてです。
本日4月7日は、竜之介動物病院の開院記念日でもあり、今日で23年が経ちます。
動物のために何かをしたい!飼主のためにお役に立ちたい!そして社会のために貢献したいという思いで竜之介動物病院を開院しました。

その想いは多くの方へ伝わり、開院から10年経つ頃には 県内外から第二病院、第三病院の分院を作って欲しいという要望を、多く頂くようになりました。

しかし動物病院はただそこに開業すれば良いわけではありません。中身に素晴らしいスタッフがいてこそ、初めて病院が機能するわけです。 理想とする病院は、「箱」で出来ているのではなく、「人」で出来ているのです。

分院を作ろうにも、思いやりを持った動物のプロフェッショナルが少ないのが現状でした。だからこそ、動物や飼主、社会のためにお役に立ちたいという、同じ志を持つ人材育成が必要だったのです。

思いやりのある人財を創る教育こそが、これからの私の使命だと気付き、開院から10年目に、九州動物学院を開校しました。立派な建物や最先端の医療機器などは所詮モノにすぎないし、大切なのはその中で活躍する人材です。動物に対する考え方です。

そして、開校から13年目の本日、晴れて認可を受けた「学校法人昭徳学園 九州動物学院」へと成長しました。これがこの学校を立てたいと考えたきっかけであり、私の建学の精神です。

次に九州動物学院の「教育目標」についてです。
これから過ごす2年間は、人生の中で最も自由を謳歌できる期間であり、 社会人としての基盤を作る重要な2年間でもあります。

これまでに皆さんが学んできた英語、数学、国語、歴史などは、なんのための勉強でしょうか?将来のためになるのか?と疑問を持つこともあったでしょう。一つ一つの点は意味をなさないけれど、社会に出ると 点と点が繋がり始めてくるのです。将来その必要性に気づきます。
小中高の勉強には答えがありました。1+1=2です。2×2=4です 白+黒=灰色です。
しかし、これからの勉強に答えはないのです。自分で考え、自分なりの 答えを出していく勉強になります。

たとえば15歳の高齢のワンちゃんに大きな乳癌ができているとします。 外科的治療で摘出手術をしますか? それとも内科的治療にしますか?

たとえば年金暮らしのお婆ちゃんが飼っているネコちゃんが交通事故で 高額な骨折手術が必要です。支払不能なお婆ちゃんにどう対処しますか?

その時の飼主さんや動物たちの状況や環境によって、答えは様々です。
多くの視点から物事をとらえ、総合的判断の中で答えを導き出す力が必要です。
九州動物学院では、「敬天尊命」の院訓を基本に、自分の頭と心で答えを出せる教育を行います。

最後の3つ目は「利他の精神」です。
「利他」は自分のためではなく、「動物のために」「飼主のために」 「社会のために」という精神ですが、この「利他」は「日本人の心」 そのものでもあります。日本人の道徳心は世界でも評価されている事です。

私が好きな言葉にマハトマガンジーの名言があります。
「国の偉大さ、道徳的発展はその国における動物の扱い方でわかる」

人も動物も同じ命です。その命を粗末に扱う国は、それまでの発展でしかないということです。この思いやりの国日本でも、動物の殺処分や災害動物の扱いを変えれば、まだまだ良い方向に変われるということです。

「たかが動物されど動物」です。

九州動物学院では、 動物を介して、様々な教育を実践し、知識・技術だけではない心豊かな人材を育成する教育機関でありたいと考えます。在学中に少しでもこのことを忘れないでほしいと思います。

以上、私の「建学の精神」「教育目標」「利他の精神」についてお話しをしました。

最後になりましたが、今日のこの日を迎えるにあたり、学校法人化にご尽力くださいました足立理事はじめ、役員の皆様方、そして熊本県へ心より感謝申し上げます。

これからの2年間、学生諸君が切磋琢磨して、さらに成長していくことを心から期待して、私からの祝辞と致します。

本日は誠におめでとうございます。