竜之介動物病院では「ボックス竜之介」と称し犬猫の殺処分を減らすため、里親探しの活動と年2回の不妊手術キャンペーンを20年間行っております。その中心がワンちゃん、ネコちゃんの新しい飼主を探し譲渡することでしたが‥一向に殺処分をゼロにすることはできず、堂々巡りに頭を痛めていました。今回は殺処分ゼロに近づくためには有効的な方法として、「元から断たなきゃダメ!」を改めて感じたので報告いたします。



私は先月、以前より興味があった 公益財団法人どうぶつ基金の「TNRプロジェクト」が徳之島で行われたので、参加してきました



TNRとは?

Trap  (トラップ) 捕獲する
Neuter (ニューター)不妊手術する
Return (リターン) 捕獲場所に戻す

この活動は、地域猫に適切な不妊手術をすることで猫ちゃんの繁殖を抑え殺処分を無くすことにつながります。



期間は11月17日~21日 当初「TNRプロジェクト in 徳之島」に参加するため竜之介を1週間も留守にする事をためらいましたが、スタッフが「未来の猫ちゃんの命を助けるためです、全力で留守を守りますので是非参加してきて下さい」と頼もしく力強い後押しをしてくれたおかげで参加が実現いたしました。



徳之島は西郷隆盛が島流しになった場所、徳洲会(徳田虎雄)の発祥地、長寿の泉重千代、戦艦大和慰霊塔、闘牛、奄美のクロウサギなど以前から個人的にも興味がありましたが、極めつけは本年度竜之介での優秀新人賞を獲った米田亜紀子の出身地が徳之島という事、そんなこんなで一度行ってみたいと思っていた場所です。



日本は島国です、徳之島も島ですから、まさに徳之島は日本の縮図のようなもの。ここでのTNRプロジェクトの成功は日本中のノラ猫問題解決の糸口になるはずです。




今回驚いたのは、奄美獣医師会が全面協力体制で、そして行政獣医師も休暇をとって手伝っていました。さらに島民のボランティアの方々が慣れない手つきでも手伝いをしている‥ 行政、獣医師会、ボランティアの三位一体で取り組んでいる姿を見て感動しました。これには三者を根気よく調整しコーディネートされた どうぶつ基金の佐上氏の活躍なくしては成り立たなかった事業だと思いました。



全国から集まった獣医師5名と島民の皆様の協力のもと5日間のTNRプロジェクトを遂行し、全537匹の不妊手術をしました。朝から晩まで途切れることなくノラ猫の手術をしていましたが、関係者たちは意外と元気でした。今やっている手術で、動物愛護センターの殺処分が減るんだ!そんな思いがあったからだと思います。



それから、当初は増え続けるノラ猫に無関心な島民でしたが、5日間の間に不妊手術したノラ猫を家猫として飼ってみようかなぁと数名の方が手を挙げ始めたことには感激しました。島の人たちが猫に対しての気持ちが変化し、ノラ猫ちゃんに関心が出てきた証拠です。



熊本では動物愛護センターの活躍でかなり殺処分数は減少して、全国的に殺処分ゼロを目指すモデルケースとして注目されています。
猫は犬のように登録制ではないので野良猫が増加傾向にあり善意のエサやりが仇となり栄養状態のいい野良猫が繁殖を繰り返し子猫がどんどん増え結果、猫ちゃんの殺処分数は横ばいです。



私は今回、徳之島における公益財団法人どうぶつ基金の活動に共感しました。殺処分を減らし未来の猫たちを救うためには、この気持ちを行動に移しTNRプロジェクトを「今」実行することだと確信しました。



2015年も「ボックス竜之介」ノラ猫の不妊手術キャンペーンを2月23日から3月1日までの1週間実施いたします。今までは竜之介だけで100匹のTNRプロジェクトでしたが、徳之島のモデルケースを参考に、一人でも多くの方、そして行政や獣医師会にも参加協力していただきたいという思いから、広く広報させていただきます。



私たちは、夢を実現するために生まれてきたんです。殺処分ゼロに向けての大きな一歩となる、このプロジェクトに参加してくださるボランティアスタッフを募集します。