「ブダペスト展」*汐留ミュージアム* | noelleの小さな幸せ♡

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パナソニック汐留ミュージアムで開催中の「ブダペスト国立工芸美術館名品展 ジャポニスムからアール・ヌーヴォーへ」を観て来ました。

 

ブダペスト国立工芸美術館は 古今東西の工芸品を扱うハンガリーの国立美術館です。

ヨーロッパ各地の工芸美術館設立の波にのり1872年に設立されました。次第に増える所蔵コレクションに合わせて 建築家エデン・レヒネルの設計による新たな建物が1896年に作られ ハンガリー建国1000年祭の祝賀の最終行事として皇帝フランツ・ヨーゼフを迎え開館しました。

 

今回は 日本の美術や工芸がどの様に西洋に影響を与えたかを 19世紀末から20世紀初頭までのジャポニスムとアール・ヌーヴォーの作品群で知る事が出来る展覧会となっています。

 

今回のお目当てはこちら。

ルイス・カンフォート・ティファニーの孔雀文花器 (1898年以前)

蒔絵に影響された玉虫色に輝くファブリル・グラス(Favrile glass)は ルイス・コンフォート・ティファニーが特許を取得した技法です。この作品の他にもファブリル・グラスの作品がいくつか展示されていましたが 観る角度で表情が変わるガラスは美しく 身体を動かしながら舐める様に観て参りましたニヤリ

 

 

鎖国によって他国から切り離され育った日本独自の美が 鎖国が解かれた事でヨーロッパ諸国にもたらされた時 人々はその美しさに熱狂しました。

特にそれに一役買ったのが万国博覧会。ロンドン万国博覧会(1862年)で 幕府が開港をせまるヨーロッパ諸国へ交渉するために送り込んだ使節団の面倒をみてくれたイギリス初代公使ラザフォード・オールコック氏が 自身で集めた日本の工芸品を出品し現地の人々に絶賛されます。

その後 大河ドラマにも出て来たパリ万国博覧会(1867年)へは江戸幕府 鹿児島藩 佐賀藩が参加。

翌年にはフランスで日本美術愛好家のグループが発足するなど日本ブームが吹き荒れ 日本の美と西洋の美の間に化学反応が起こり西洋の工芸品が一歩育つ事になったのです。

 

 

まずは模倣から…。

どの様にすれば再現出来るのか 心動かされた技法を再現しようとして生まれた新たな技法もたくさんありました。

 

それまでのヨーロッパでのデザインは 過去の様式から取り出した物の繰り返しだったそうです。装飾文様や過去のモチーフの再利用。黄金比やシンメトリーに美しく配したスタイルに馴染んたヨーロッパの人にとって アシンメトリーな構成や植物や鳥 蝶などの自然物を自由にデザインした作品は 強い興味の対象となった様です。

そしてそれは模倣から独自の進化を遂げて リアルに描かれた動植物が美しくデザインされたアール・ヌーヴォーへと繋がって行きます。

 

ガレやドーム ロイヤルドルトン ミントン等々有名どころも見どころかもしれませんが 今回は日本の工芸品がどの様にヨーロッパに影響を与えたのか解りやすい構成になっているので 個人的にはそこがとても面白かったです。また アール・ヌーヴォーと言えば言葉通りフランスやベルギーがすぐに思い浮かびますが ヨーロッパの様々な国にも存在しその違いなども楽しめました。

 

展示品の中で 印象に残っている作品をいくつかご紹介。

 

1章 自然への回帰―歴史主義からジャポニズムへより

ミントン社の「尾長猿文飾壺」 パート・シュール・パートという技法を使いイチジクの木の上の尾長猿の姿が描かれています。濃い青に白の模様がカメオの様に浮彫に見え ゴールドの丸模様も日本らしい作品です。こちらから美術館の該当の作品紹介ページへ飛びます⇒クローバー

 

2章 日本工芸を源泉として―触感的なかたちと表面より

アウグスト・へルマン・ノイド(スウェーデン)の「青春と老いを象徴する飾壺」 若い女性の裏に老女というデザインに これは日本工芸云々より Death本で散々見て来たメメント・モリのモチーフそのものじゃない?と そっちが気になりました(笑) 作品ページはこちら⇒クローバー

 

3章 アール・ヌーヴォーの精華―ジャポニスムを源流として―①花より

ハンガリーのジョイナル陶磁器製作所の「アニス花文花器」 無数のアニスの花がふんわりと浮かぶ幻想的な作品です。作品ページはこちら⇒クローバー

 

5章 もうひとつのアール・ヌーヴォー―ユーゲントシュティールより

ベルリン王立磁器製作所の「植物文花器」繊細な文様がとにかく素敵でした。作品ページはこちら⇒クローバー

 

ドナウの真珠と称される美しい街にある 建物じたいが個性的なブダペスト国立工芸美術館。

フランツさんが関わっていたのね…と ミュージカル好き人間としてはそんな所に感慨深い物を感じてしまいました。

ヨーロッパの焼き物が好きな方 アール・ヌーヴォーが好きな方にはお勧めラブラブ

「ブダペスト国立工芸美術館名品展 ジャポニスムからアール・ヌーヴォーへ」はパナソニック汐留ミュージアムで12/19まで開催予定です。(日時予約制となっている様です)

 

ロゼワイン白ワインシャンパン

 

フランツ・ヨーゼフと言えば ちょっと前に作ったおやつ。

カイザーシュマーレン

 

 

 

☝この本ではブラームスのおやつとして載っていましたが 名前の通りフランツが好んだお菓子だったそうです。卵白を泡立てて作るのでフワフワなんですよチョコ

 

 

シャンパン白ワインロゼワイン

 

この日は初めて旧新橋停車場へも入ってみました。

明治5年開業の停車場駅舎はアメリカ人ブリジェンスの設計による木骨石張りの構造で 文明開化の象徴として親しまれましたが 関東大震災で焼失してしまいます。その姿が復元されたのは平成8年に駅舎とプラットホームの一部の遺構が史跡として国の指定を受けた事がきっかけでした。内部を見学出来ますし 企画展もやっています。

今回は鉄道写真家の南正時さんの作品展が開催中でした。

 

入場無料ですが 中には発掘された当時使われていた茶碗やお皿などが展示してあったり 歴史などを知る事の出来る映像が5種類…だったかな?あるなど なかなかの充実ぶりでした。

 

帰りに 新橋駅構内のステンドグラスを撮影音譜

解説文によると左の機関車は新橋―横浜間を運転した一号機の正面像だそうです。「ステンドグラス製作のための手作りのアンチックグラスは欧州から直接取り寄せられ完成まで約一年の月日が費やされた」とありました。"アンチックグラス"という単語に古さを感じてキュンラブラブ

原画は日本画家の吉岡堅二氏。1976年10月1日の日付が入っていました。

プレートには製作者は書いてありませんでしたが 大竹ステングラスの公式サイトに製作実績として掲載されていますので 大竹ステンドグラスの作だと思われます。

大竹ステンドグラスは 神田の輸入硝子商の家に生れた大竹龍蔵氏が創立した会社です。大竹氏は家業の手伝いで 日本へステンドグラスを持ち込んだ2人のアーティストのうちの1人宇野沢辰雄氏率いる宇野沢組ステンドグラスへ輸入硝子を納めに行き 宇野沢作品に魅了されステンドグラスを手掛ける様になります。横浜のオランダ人美術家からヨーロッパのステンドグラス事情を 日本へステンドグラスを持ち込んだ2人のうちのもう1人のアーティスト小川三知氏からはアメリカの技法を学びました。

この師である小川三知氏がアメリカで学んだ技法というのが カッパーフォイル(Copper Foil)という銅のテープを貼りつける技法で開発者の名前をとってティファニー方式と呼ばれている物です。この開発者のティファニーさんは 展覧会で私がお目当てだった「孔雀文花器」の作者で玉虫色に輝くファブリル・グラスの特許を取った ルイス・コンフォート・ティファニー氏その人なんです。

ルイス・コンフォート・ティファニーと聞けば私の中ではステングラスの人だったので 今回は他の作品を観られて新鮮でした。そして 彼のステンドグラスにはファブリル・グラスが使われている事を知り じっくりと観てみたいなぁ~と…。

 

ちょっと長くなりましたが マルッと繋がった所で今日はおしまい。

 

長すぎて眠くなっちゃったよ。ここまでお付き合い下さった方へ感謝しないとダメよジンジャーブレッドマン