?H3>★ 不安と期待 ★
私たちと同じ迷彩柄の衣装を着たエキストラが全員集まったところで撮影場所に移動だ。この日の主な撮影場所は施設の庭である。この庭は、とても広く防波堤を隔ててすぐのところに海が広がる。その防波堤から釣り糸を垂らせば魚が釣れそうだ。海の反対側には山々がそびえ立ち、多くの鳥たちが羽ばたき、そして、さえずっている。
この庭には既に多くの人たちが待機している。40~50名ほどの女の子達が灰色でワンピースに似た服を着て、背中には背番号の様な番号が付いている。この人たちはみんな台本を持っているためエキストラでない様だ。そのうちの2名が警察官に似た衣装を着た人がいて、私たちと同じ迷彩柄の衣装を着た男性が4名ほどいる。この4名はエキストラでなく役者であると言う事に気付くのは少し時間が経ってからだ。迷彩柄の男は私を含め8名だ。
一週間ほど前に地元のフィルムコミッションからエキストラ募集の情報を頂き、作品を選ばずに何でもエキストラに参加する私は、早速応募した。募集要項には、日程と役名は記載されていたが詳しい内容までは記載されていない。
私は、タレント事務所所属のエキストラ3名に訊ねた。
私は、タレント事務所所属のエキストラ3名に訊ねた。
「ところで、今日は、どう言った事をするのですか?」
しかし、彼らも誰一人として今日、ここでどう言う事をするのか聞いていないようだ。
いったいどういったことをするのだろう、と楽しみな気持ちと不安な気持ちが半分ずつ芽生える。
いったいどういったことをするのだろう、と楽しみな気持ちと不安な気持ちが半分ずつ芽生える。
私たち4名のエキストラがスタッフに呼ばれる。すると黒い帽子とライフル銃を渡される人と短銃を渡される人がいる。
「これ発砲銃じゃないの?」と一人のエキストラが言う。
「この銃は取扱注意でお願いします。」とスタッフが注意する。
これは発砲銃(引き金を引くと音と火を噴く)らしく取扱注意だ。ライフル銃にはベルトが付いており肩に掛けるとズシリと重い。実に細かい部品までしっかり再現されており、本物の銃は見た事ないが、素晴らしい出来の銃である。
「何だか今までは工事現場にいる作業員見たいだったのに・・・。」
「下手したら自衛隊に見えるよね。」
「バトル・ロワイヤルだよ。」
最初は工事現場の作業員にも見えると思っていたが帽子と銃を持つと、まるで自衛隊にも見える。映画バトル・ロワイヤルだと言う人もいる。この様な迷彩柄の服を着てライフル銃を持って立っていたら周りの人から見れば異様であり怖いであろう。施設の周りの海で多くの釣り船が往来している。
次回予告 『クランクインに続く』