あぐりさんのこと | 猿の残日録

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いろんなことがあるが、人生短いから前だけを見たほうがいいですよ。江原啓之 今宵の格言

105才吉行あぐり氏 娘和子に
「私が死んだ方がいいでしょ」

NEWSポストセブン 2012年9月16日(日)7時0分


『おばあちゃんたちの町おこし 裏山の葉っぱで月収200万円』
と各種メディアから報じられたのは2005年6月。
徳島県・上勝町のおばあちゃんたちのサクセスストーリーが
映画『人生、いろどり』となり、公開されている。
主演の吉行和子(77才)が現在105才の母・あぐりさんを語る。

 

 吉行は結婚経験があるが、現在は独身。
あぐりさんは、1997年のNHK朝の連続テレビ小説
『あぐり』のモデルとして、よく知られている。

 

「母は今年の7月で105才になりました。
同じマンションの別の部屋に暮らしています。
さすがに寝たきりになって、ヘルパーさんの手を借りていますが、
頭はしっかりしていて、今日も私に
“あなたは私が死んだほうがいいと思っているんでしょう”
なんて聞いてくるんです。

 

 私が、“そんなことないわ。死ぬときなんて誰にも決められない、
それこそ神様の領域でしょう”と答えたら、
“あなたって頭がいいわね。そんな答え方して”なんて言うんです(笑い)」
(吉行・以下同)

 

 老いても精神はかくしゃくとして、こんな会話をどこかで楽しむ母と娘。

 

 あぐりさんは美容師として働き続けてきた女性なだけに、
母娘はお互いに寄りかかることなく、自立して生きてきた。
あぐりさんが91才になってからは、母娘ふたりで世界各地を旅するようになったという。
初めて間近で母の考え方や行動スタイルを見た吉行は、
「なんてさっぱりした、手のかからない人だろう」と自分の母のことを感心した。

 

 今でも母は、娘の仕事を精いっぱい応援してくれている。
本作のロケで長期間家を留守にするときも、「仕事に行ってきます」
と伝えると、「いってらっしゃい」と笑顔で送り出してくれたという。
仕事をしているのが当たり前のことなので、心細いとも、さびしいとも、
そんなそぶりはまったく見せない、毅然とした母なのだ。

 

※女性セブン2012年9月27日号