この本を読んでよくわかったことが色々あります
防犯灯の設置・維持費用を町内会が負担する経緯
町内会費の全国平均
町内会は強制か、その歴史
町内会でするべきことと、行政に任せるべきこと
現実の世界は理想とはちがうが、本来はこうあるべきという
その形がわかった気がしました
以下、抜粋
町内会は義務ですか? 紙屋高雪
防犯灯の設置と維持管理
最小限の道路照明は行政が設置しています
それ以外は、町内会が設置維持、行政が一定の補助
町内会がお金を出せる範囲で防犯灯がどれだけ
つけられるか決まる
町内会の加入率は、東京都 市部 54.2%
横浜市 76.6% 那覇市 20.9%
しかし、全国では、89.2%
100%加入の町内会が、全国で46.9%
(町内会にアンケートした結果)
役場の担当者にアンケートした結果は、21.6%
住民に調査した結果は、24.7%
(明るい選挙推進協会の選挙の意識調査)
町内会費 全国調査で、月500円未満の町内会が
全体の44.5%
田舎の小さな規模の町内会ほど会費が高く、都会の
大団地は低い
廿日市市(広島県)の調査では、年間4958円
(月413円)が平均とされています
町内会は行政の下請けであるという議論が昔からある
全国調査で、選挙での候補者支持をしている町内会は
21.2%に及ぶ
「町内会は行政の末端」という町内会のイメージの原型は
戦前にあります
町内会を思想的に毛嫌いする人たちの中には、戦時体制の
動員に町内会が組み込まれ、使われたことをあげる場合が
少なくありません
著者は、くずれかけた町内会を休会にし、最小限の機能
しかもたない「ミニマム町内会」をつくった
それには、校区からつるしあげなど陰惨な体験があった
防犯灯の管理は町内会がないと困るか
それがないと困るものは、行政にゆだねて税金で運営される
べき もしくは、著者がいる団地のように団地所有・管理者
(著者の場合はUR)にゆだねてしまう
防犯灯は、行政からの補助金もありますが、町内会費を入れて
設置や電気代をだしているところがほとんどです
防犯灯は、夜道が本当に暗かった1950年代に設置が始まり
1961年に「防犯灯等整備対策要綱」が閣議決定され
補助がはじまっていきます
それで全国の自治体で補助金を出す流れになっていったのです
こんなふうに始まった防犯灯ですから、
「町内会がつくるものを行政が補助する」というのが最初の流れ
で、そのまま現在まできている、というのが正直なところ
「必要な社会インフラなんだから、税金でやればいいじゃん」
というのがぼく(著者)の率直な感想です
横浜市は「防犯灯のあり方についての検討会」をもうけ
報告書を出し(2010年)、現在LED照明にかえた
ところから市に移管を始めています
この「検討会」の報告書では、市に移管した場合のデメリット
が書かれていましたが、「市の負担が極めて大きくなる」
「自治会町内会の関心がなくなり、協働の観点が失われる」
という理由が書いてありました
しかし、「市の負担が極めて大きくなる」というのは
市が本来負担すべきものなら当然のことですし、後者は
とってつけた感が否めません
「あそこは暗いから怖い。照明をつけてほしい」という要望は
防犯灯の管理権がなくなったから消滅するというものではない
はずです
防犯灯というのは、人によっては町内会の必須業務で、町内会が
なくなれば防犯灯もなくなり、この世は真っ暗(文字通り)と
思われています
しかし、実際には手放すことができるものではないでしょうか
結論から言えば、住民にとって必要不可欠のインフラは行政が
税金でおこないます
町内会がやれることは、そこからのプラスアルファなのです
町内会は強制加入ではなく、任意加入です
任意であるからこそ、そこでできることはボランティアの範囲を
出ません
そのことを踏まえれば、町内会でやれることはボランティアであり
あくまで必要最小限に対する「プラスアルファ」でしかないのです
あった方がいいけど、なくても仕方がない、というものです
では、町内会は不要なのでしょうか
私(著者)はそうは思いません
自分はこのまちの一員だというコミュニティー意識、共同体意識を
つくり出すこと
私(著者)が窮余の策でたどりついた「ミニマム町内会」は
実際には夏祭りと餅つきぐらいしかやっていません
しかし、それこそが町内会の一番大事な部分であるコミュニティー意識
をつくりだしているのではないかと思うようになりました
楽しみのための親睦行事を、ちょろちょろやるだけでも、なんとかなる
ものです というか、それこそが町内会の一番コアの部分だということに
もっと自信を持ってもらえたらうれしいなと思います
「ミニマム町内会」
・会費なし(加入は不要)
・義務なし(完全なボランティア)
・手当なし
以上