こんにちは!
沖縄の離島在住、気功師のTAROです^ ^
沖縄ではよく、「マブイ~を落とす」という表現をします。
マブイは、沖縄の霊魂概念で、いわゆる魂のこと。
人が生存する上では欠かせないものと考えられています。
そして、沖縄では、何かびっくりしたり、ショックな出来事があったりすると、マブイ(魂)が落ちてしまうと考えられています。
ただ、ごそっと抜け落ちてしまうのではなく、マブイの一部が落ちると考えられています。
魂はいくつかに分かれているのです。
その一部がぽろっと落ちてしまうんです。
特に幼い子供はマブイが抜けやすいと言われれます。
マブイが落ちたままでいると、何か不幸なことが起きたり、健康を害してしまうと考えられているため、落としたマブイを拾うという作業をします。
それが「マブイぐみ」です。
一般的なやり方は以下のような形です。
①事故が起きた現場に行く
②マブイに呼び掛けて祈る
③その場にある小石を3つ拾う
④着物に包んで持ち帰る
⑤着物を着て、包んだ小石を懐中に抱いて過ごす
20、30年前であれば、老婆のほとんどがこのマブイグミの儀式を習得していたらしいです。
これで、落としたマブイを回収でき、ああ安心!ということになります。
ただ、マブイの落とし方が深刻な場合や落とした場所が分からない場合など、上記のやり方だけでは自身のマブイを取り戻すことは出来ません。
そこで登場するのが、沖縄の民間シャーマン、ユタです。
彼女ら(今は男性もいますが、本来は女性ばかりでした)は、独自の方法、独自のパワーで、クライアントのマブイを取り戻します。
まあ現代的に言えばセラピーしているということだとは思います。
ユタの巫術には決まった方法やテキストがないので、それぞれのユタがみな独自のやり方を持っているみたいです。
さて、ここからが本題です。
マブイを落とす、という現象はどんなことを意味するのでしょうか?
まず、、、そもそも魂は実在しません。
最近少し話題になっている、人間の「死」について解説した著作、『「死」とは何か イェール大学で23年連続の人気講義』の中で、著者のシェリー・ケーガンはこう述べています。
魂など存在しない。私たちは機械に過ぎない。もちろん、ただのありきたりの機械ではない。私たちは驚くべき機械だ。私たちは人格を持った機械だ。愛したり、夢を抱いたり、想像したりする能力があり、計画を立ててそれを他者と共有できる機械だ。私たちは人格を持った人間だ。だが、それでも機械に過ぎない。機械は壊れてしまえばもうおしまいだ。
(出典:https://premium.toyokeizai.net/articles/-/20213)
人間の能力や想像力を考えると、我々がさも崇高な非物質的なものを有しているように思えてしまうのですが、実態はただの機械である、ということです。
「はっ!?機械???馬鹿にしないでよ!機械には心がないじゃない!!!」と言いたくなる人もいるかと思いますが、人間の心こそが機械であるというのが、人工知能の父、マーヴィン・ミンスキーの主張でもあります。
心は果たして機械であろうか?この問いに対しては、私は一点の曇りもなくイエスと答えてきた。むしろ、私が問題としてきたのは、どういう種類の機械なのか、ということだけであった。ほとんどの人々は、いまでもまだ、機械とみなされると侮辱されたように思うに違いない。しかし、私は、むしろそういう人たちが、自分自身がこんなに不思議な力を持った機械だと思うのが、どんなに素晴らしい考え方か、この本を通して、考えてくれることを願っている。(マーヴィン・ミンスキー『心の社会』より)
なんだか、夢もへったくれもないような気もしてきてしまいますが、残念ながら現代科学のほとんどの結論が、魂の実在は認めていません。そして、「生命こそが機械である、それも素晴らしい機械だ」と、生命機械論という考え方で見た方が、生命への理解は進んでいくと考えられています。
前世を見たり、何か不思議な体験をしたりする人が、それを真実だと思い、魂の実在を主張しますが、それは変性意識状態がもたらすある種の幻覚であるということも分かっています。
ただ、実在しないからと言って、意味がないわけではないのです。
マブイも魂も、我々の情報空間には存在しているのです。
そして、情報が物理を書き換える、というのが気功の重要なパラダイムです。
情報空間に存在するものに介入すれば、物理的な身体にも影響が出ます。
何かショックな出来事があったときに、マブイを落とす、ということは、神経科学的にはPTSD(トラウマ)の体験などと近いものがあるのだと思います。
急激なショックや恐怖により、ストレスホルモンが分泌され、脳の構造が変わってしまうということです。
まだ脳内の神経細胞が発達過程の子どもであれば、その影響が大きくなることは容易に想像ができます。
なので、幼少期の方がマブイを落としやすいと言われるのではないかと思います。
このようなダメージをマブイグミという儀式によって、解消するわけです。
少し不思議な手法を用いますが、現代で言えばカウンセリングだと思います。
NLPのフォーカシングという手法でマブイグミに近いことを行うとすれば、以下のような手順になると思います。
①クライアントに、その当時の状況を思い返してもらう
②当時感じたストレスやショックの体感覚を思い出してもらう(人間は感情を身体感覚で記憶しています)
④その体感覚を増幅させ、形や重さなどをイメージ
⑤その感覚を身体の外に取り出す(イメージでいいのですが、しっかり機能している場合は本当に取り出したように感じます)
(取り出すイメージ、本当にこんな感じでセッションします)
⑥身体の外に取り出したそれと会話をしたり、何かをして、起きた出来事の解釈を再編する(この辺をどのようにやるかはいろんな手法があります)
⑦最後、取り出した身体感覚を身体に戻す。身体感覚の変化を確認する。
字面だけだと何を言っているか分からないと思うのですが、要は人間は感情を身体感覚で記憶しており、その身体感覚を変えることでセラピーが行える、ということです。
それをマブイグミという一連の儀式で行っているのではないかと思います。
この儀式の効果が出るかどうかは、ヒーラーの腕次第だと思います。
当然ながら、ただ儀式をなぞればいいというわけではありません。
重要なのは、気功と同じで、情報空間への臨場感であり、つまりは変性意識の深さです。
手法はどうでもいいのです。
クライアントの変性意識を深めて、情報を書き換え、身体感覚を書き換えられるかです。
儀式というのは、ヒーラーの変性意識を深めるトリガーです。
なので、マブイグミの手法に熟練した方が行えば、変性意識の生成を容易に行うことができ、結果も出しやすくなるのだと思います。
マブイは実在しません。
しかし、その存在を認め、情報空間で介入することでクライアントへのヒーリングは可能です(重ねて書きますがヒーラーの腕次第です)。
例えば、マブイではなく、小さい妖精みたいな世界観でも良かったわけです。
人間は生まれながらにし妖精を何匹か持っていて、何かの拍子に1匹いなくなっちゃうことがあり、それが自分の健康に影響するとか。
沖縄に伝わった文化がそのようなものであれば、妖精を使ってカウンセリングを実施していた可能性も十分にあります。
マブイなんて絶対に存在せず、マブイグミなんて単なる迷信だという科学絶対支持者と、マブイは実際に存在していてマブイグミは超自然的な巫術であるというスピリチュアリズムは、申し訳ないですがどちらも間違っています。
情報が物理を書き換えます。
気功も、沖縄の民間療法で行われてきた所業も、広くはそのパラダイムで理解することができます。
世界はまだまだ科学絶対主義が貫き続けると思います。
また、スピリチュアリズムも同様です。
ですが、知識をアップデートさせ、我々はその次に行きたいと思います!