偉大な思想は胃袋から生れる。
ヴォーヴナルグ 「省察と格言」
写真引用元:©OCVB
「食」は文化に影響すると思います。
食べる事は生活に密接していますし生活は文化につながります。文化は歴史になります。
沖縄の歴史は「食」にも色濃く反映しています。
かつて沖縄は琉球という約450年続く独立国家でした。王国だったので宮廷料理もありました。
ですから沖縄の食は「宮廷料理」と「庶民の料理」に大別できるのかもしれません。
まずは沖縄の料理の全般を見ていきたいと思います。
●沖縄の料理のオーバービュー
沖縄県は亜熱帯の気候なので本土と較べて気温が高いです。そのために暑いか寒いしかない曖昧な季節です。ですから四季折々のある本土とは食材も異なり、食にも影響を与えていると思います。
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特徴的だと思うのは一般的に他国では亜熱帯の気候だと香辛料を多様した料理が多くなるのですが沖縄では香辛料はあまり使用しないです。基本的な味付けは塩、味噌、鰹節、昆布を多用します。ですからカテゴリーとしては日本料理になると思います。
特徴的なのは豚を料理でよく使う事です。肉を食べる事もそうですが料理の出汁としてもをよく利用します。反面、島国の割には手が込んだ魚の料理が意外に少ない事も特徴的だと思います。
日本本土では律令時代から江戸時代に至るまで米に基く租を安定的に確保する関係上、獣肉食を禁止・制限する命令が何度も出されたことにより、米が貨幣にもなる神聖な作物として位置付けられていました。
本土では肉食が稲作農耕に害をもたらす穢れとされ、長らく禁忌とされてきた歴史があります。しかし、沖縄は米を税の中心として位置付ける日本本土の政権の統治下になく、肉食が穢れと見なされなかったためにブタ、ヤギなどの家畜を肥育して食用とすることに抵抗のない食文化になったようです。
そして沖縄の食に影響を与えたのは第二次大戦です。この戦争で敗れた日本から、沖縄は切り離されアメリカの領土になりました。食もアメリカの影響を強く受ける事になります。
● 琉球の宮廷料理
琉球の宮廷料理は、大交易時代に中国からの冊封使や薩摩の役人をもてなすために発展したものです。ですから中国的な特徴と日本的な特徴をバランスよく兼ね備えています。
琉球料理は現在も脈々と受け継がれています。幸いな事はあなたもそれを食する事が出来るのです。
主な琉球の宮廷料理を挙げてみます。
1,らふてぃー(豚の角煮)
2,みぬだる(らふてぃーの上に胡麻)
3,とうふよう(泡盛にに漬けた豆腐)
4,みみがー (豚の耳の和え物)
5,てびち (豚の足)
6,中身汁 (豚の内臓の汁)
7,じーまみどうふ (ピーナッツからできた豆腐)
8,はないか (開いたイカ)
9,しらあえ (ヨモギをきざんだサラダ)
いかがですか?あなたも一度や二度は口にした事があると思います。
琉球料理の特徴は例えば外国ならフォアグラやトリュフなどの高級食材を使うのではなく語弊を恐れずに言うなら庶民でも手に入る食材を丹念に調理するのが特徴です。
個人的に面白いなと思うのは中継貿易で栄えた琉球ですがそれらの交易で得たであろう外国の食材を使っていないところです。どこでも手に入る食材を究極の味に仕立て上げるところが和食とも通じるものだと思います。
●琉球料理と琉球舞踊
琉球の宮廷料理は、大交易時代に中国からの冊封使や薩摩の役人をもてなすために発展したものです。
特に冊封使は琉球にとって大切な行事でした。
冊封使とは,一大大国である中国皇帝に各国はその存在を認定してもらう制度です。琉球においては国王が変わり即位式をとりおこなう際に中国皇帝の命をうけた冊封使が派遣されました。認証と同時に中国との関係性を世界に示す事が出来たのです。今で言えば安保条約や通商条約みたいな感じなんでしょうね。
また冊封使一行は多数の中国商品を持参してきたようです。琉球王府はそれらを入手することで、東アジアにおける中継貿易国としての仕組みを確立しました。冊封使の制度はお互いに利益のあるものだったのです。
すごいのはその規模です。冊封使の一行は総勢400人にもおよび、琉球に約半年間滞在したそうです。その雰囲気を現代に再現したものが首里城祭の「琉球王朝絵巻行列」です。
そしてその、おもてなしの場所で料理と共に絶対に欠かせないものが琉球舞踊です。踊奉行というおもてなしをするための役職があった琉球ですので琉球料理と琉球舞踊がコラボして贅沢なおもてなしの空間を創っていったのでしょう。
●沖縄の庶民料理について
現在、沖縄の一般家庭で食べる日常食も特徴があります。いくつか見ていきましょう。
1)鰹節の消費量が日本一
沖縄県民の鰹節好きはずば抜けています。その消費量は全国1位でそれも全国平均の約4倍とずば抜けています。
※総務省統計局家計調査平成24年度より
沖縄のスーパーに行くと大容量パックに入った花かつおに、血合い入り、血合いぬき、ざっくり削った厚削りなど、種類も数もとにかく豊富です。一説によると沖縄の鰹節は一般的なものに比べて、相当に香りが強い物が納品されているようです。
2)加工食品を使う
今では本土でもすっかり認知されたポーク(豚肉)の缶詰やツナ缶を料理でよく使います。しかしこれらの食材は美味しいのですがカロリーや栄養が偏る可能性もあるので今後、見直しが必要になるかもしれません
3)あじくーたーが好まれる
沖縄は高温多湿なので食材がすぐに痛みます。ですから揚げ物や炒めものなど熱を通す料理が多いです。一般的に油っぽく味の濃ゆい食べ物を「あじくーたー」と沖縄の人は呼びます。本土の人からすると味覚の好みの別れるところだと思います。
4)豆腐をよく食べる
チャンプルーなどに始まり、沖縄の人は豆腐をよく食べると言われています。豆腐も島豆腐とよばれる固い豆腐から、ゆし豆腐と呼ばれる柔らかい豆腐まで色々とあり製造所も県内で多くあります。14世紀頃、中国から豆腐の製法が伝わり、貴重なたんぱく源として豆腐は沖縄の食文化には欠かせないものになったのです。
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5)本土でみかけない調味料など
ホリデーマーガリン、エゴーサラダドレッシング、A1ステーキソース、ピーナツバターなど独特なものが今でも普通に使われています。またあまり知られていない事ですが沖縄の塩は以前から天然塩です。本土では専売公社が販売する「食塩」しかありませんでした。実はその「食塩」は「イオン交換膜法」という生成法で作られた化学物質とも言えるものだった事が今では知られていますが沖縄では家庭用・業務用の区別なくほぼ全てが県内で加工された自然塩が使われてきました。本土復帰後も県民の強い要望によって塩専売法の対象外とされたという経緯があります。
●私の好きな沖縄の家庭料理
・チムシンジ
これはレバーのお味噌汁です。栄養のバランスが良いので体調を崩したり、病み上がりなどによく食します。
・アシティビチ
これは豚足の煮込みです。食わず嫌いするなかれ!とっても美味なのです。
動画4
私の祖母はお料理を作るのがとても上手かったです。そして料理も含めて何かを教えてくれる時はいつも沖縄の諺や名言などをよく話してくれました。
「ティーベーサ、ヂュラサ」
*意味:手早く綺麗に!
ゆっくり丁寧に仕上げるのは誰でもできる、常に手早くきれいにを心がけなさいと言われてました。今でも心に残っています!

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こんな小さな島国なのに沖縄の食は意外にバリエーションがあります。それは歩んできた歴史は大きく影響しています。
現在、「長寿社会」だった沖縄はもう存在しません。私の祖母の頃のような糖質の少ない食事をしていれば健康長寿になるのでしょうが飽食の時代なのでなかなか昔のように戻る事は難しいでしょう。
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でも少しづつ今の流れを変えていかないと子どもたちの世代に大変な事になると感じています。沖縄の食がこれからどうなるのか?これからの私達の選択肢には責任がありますね。
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