雨降りお月さん | 春夏秋冬✦浪漫百景

春夏秋冬✦浪漫百景

季節の移ろいの中で...
歌と画像で綴る心ときめく東京千夜一夜物語

 

作詞:野口雨情、作曲:中山晋平 

大正14年(1925年)の童謡です。

 

雨降りお月さん 雲のかげ   お嫁にゆくときゃ 誰とゆく   

一人でからかさ さして行く   からかさないときゃ 誰とゆく 

シャラシャラ シャンシャン   鈴つけた   

お馬にゆられて ぬれてゆく 

2 急がにゃお馬よ 夜が明けよう  

 手綱(たづな)の下から   ちょいと見たりゃ   

お袖でお顔を かくしてる   お袖は濡れても 干しゃ乾く   

雨降りお月さん 雲のかげ   お馬にゆられて ぬれてゆく

この歌は野口雨情の夫人の輿入れを雨情がねぎらったものと言われています。

当時は荷物を積んだ行列を作って馬に乗って輿入れをしていたそうで、

雨情夫人も二日かけて雨情のもとに嫁いできたそうです。

(白無垢姿で何日もかけて嫁ぐなんて考えただけでも大変、

その時代の女性は相当我慢強かったんですねえ・・我慢するっきゃないでしょうけども)。

 

もう一つの説に雨情の早くに亡くなってしまった女の子供たちを、

歌っていると言うのがあります。

長女みどりは生後8日目、次女の恒子も2歳で亡くしているのです。

昔は病気で助からない子供が多かったですからね...

雨情は成人しなかった自分の長女と次女がお嫁に行ったなら...

と想像したのかもしれません。

 

二番の歌詞でお袖で顔を隠しているのも、大人になれなかった女の子たちだから...

ということかもしれません。

雨降りで袖を濡らしているのは雨情の哀しみが表れているのかも

(雨情の描いたこのお嫁さんはどこを旅しているのでしょう・・

どこか昼の無い別の世界でお月さんの下、

お袖を濡らしながらお馬に揺られているのかもしれません)
そう考えると「雨降りお月さん」は夫人のことであれ、

亡くした子供の歌であれ、女性には切なく響く童謡だったのでした。