☂雨想奏♬雨の慕情 | 春夏秋冬✦浪漫百景

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季節の移ろいの中で...
歌と画像で綴る心ときめく東京千夜一夜物語

雨の慕情

八代亜紀 / 雨の慕情

1980年4月25日

(オリジナル:昭和55年)  

作詩/阿久悠 作曲/浜圭介 編曲/前田俊明

阿久悠/浜圭介コンビによる、「舟唄」「港町絶唱」と合わせて哀憐三部作とされた。

阿久によると、「舟唄」「雨の慕情」と徐々に評判を高めていき、

最終的に「港町絶唱」で日本レコード大賞を狙うつもりであったようである。

だが、結果的には「雨の慕情」が予想以上のヒットとなり、

同賞のほか多くの音楽賞を受賞することとなった。

阿久は、当初「雨々ふれふれ」というタイトルを考えていた。

しかしこのタイトルを聞いた本作のプロデューサー・小西良太郎が、

阿久に「雨の慕情」への変更を助言したことでタイトルが正式に決まった。

心が忘れたあのひとも膝が重さを覚えてる

長い月日の膝まくら煙草プカリとふかしてた

憎い 恋しい 憎い 恋しいめぐりめぐって 今は恋しい

雨々ふれふれ もっとふれ私のいい人つれてこい 

いつも彼は彼女の膝の上で煙草をふかしていて、

今の彼女の目にはその煙さえ見えるかのようです。
2人の穏やかな時間やそこに表れていた愛情を、

「膝の重さが覚えてる」というフレーズに収めている点が秀逸ですよね。
彼女の心の中では彼への憎さと恋しさがせめぎ合いますが、

どうしても恋しい気持ちが勝ってしまいます。

思わず口ずさみたくなるようなメロディと共に、このサビのフレーズが歌われます。
雨が降り出したのを見て主人公は「雨々ふれふれ もっとふれ」と言い、

まるで囃し立てているようです。

「私のいい人」とは、まだ未練の残る彼のことと考えられます。
想像を膨らませてみると、

彼はいつも雨の日ばかり彼女の元を訪れていたのかもしれません。
雨になるとまた彼がやって来てくれるように思えてしまうのではないでしょうか。