☂雨想奏♬雨の物語 | 春夏秋冬✦浪漫百景

春夏秋冬✦浪漫百景

季節の移ろいの中で...
歌と画像で綴る心ときめく東京千夜一夜物語

雨の物語

「雨の物語」 イルカ

(吉高由里子)

1977年3月25日発売

 

 

 

落ち着いた声で別れを歌う。

1975年の大ヒット『なごり雪』も別れの歌だった。 

別れの似合う声というより、別れを歌っても、次があることを思わせる声。 

物語の1ページ目はドアの前に立つ君の姿から始まる。

僕の部屋を訪ねてきた君、

その時から幸せな結末には決して終わらない物語が展開していく。 

ドアに書かれた、「とても悲しい物語」。

 この物語の主人公は僕だったんだね。

 

新しい出会い(物語の1ページ目)には、この先どんなに楽しいことがあるだろうと、

期待するものだけど、僕との場合は違ったんだよと、言っている。 

そもそも出会った時から今日の別れが決まっていたのだと。

 それを伊勢正三が表現するとこうなるわけだ。

   ぼくの部屋のドアに 書かれていたはずさ ”とても悲しい物語”だと 、

 なんて文学的な比喩だろうか。 

そもそも雨から始まって雨に終わる、二人の関係。

 化粧している彼女は涙を流してはいないけれど、きっと心の中で泣いているだろう……。 

という短編小説のような『雨の物語』。 

どうして別れることになったのか、

 それは聞き手が好きなように想像すればいいのだが、

どのようにも膨らませることができる、素敵な詩だと思う。

化粧する君の その背中がとても小さく見えて しかたないから

僕はまだ君を 愛しているんだろうそんなことふと思いながら

窓の外は雨 雨が降ってる物語の終りにこんな雨の ...