あの素晴しい愛をもう一度
あの素晴しい愛をもう一度
1971年4月5日
オリジナル
加藤和彦と北山修
もともとはシモンズのデビュー曲として用意され、
作曲を依頼された加藤・北山コンビが、
加藤が作曲に1日、北山が作詞に1日で作り上げたという。
加藤は北山から送られてきた歌詞を見て北山に電話をし、
「最高だよ最高」とはしゃいだと、北山が加藤の追悼文に記している。
結局、シモンズには別の曲(「恋人もいないのに」)が用意され、
この楽曲は加藤と北山で歌うことになった。
(表記:素晴らしい、は、素晴しい、が正式)
歌詞の一部に
「あの時同じ花を見て 美しいと言った二人の
心と心が今はもう通わない あの素晴しい愛をもう一度」とあります。
調べてみると北山修さんは歌詞に込めた思いを次のように語っておられます。
”この詩は恋愛とか青春とかを描いたというよりは、
日本が大事にしてきた横のつながりの文化を描いた歌です。
連帯感とも言い換えられるかな”
”この国の人たちは、同じものを肩を並べて一緒に眺める横の愛を好みます。
お花見や紅葉狩り、花火もそう。
同じ景色を見て、みんなで『きれいだね』って確かめるのが好きなんですよね”
(2021.2.10 中日新聞より)
”「愛」には、
「あの時同じ花を見て 美しいと言った二人の」という歌詞がかかってきます。
これは、日本的な「横並びの愛」なんです。”
”たとえば日本の絵画では、母子が肩を並べて花を見る構図が多い。
小津安二郎の映画『東京物語』も、
最後は原節子と笠智衆が横並びで海を眺めるシーンで終わります。”
”お互いに見つめ合って、お前のことが好きだよ、
と言う愛とはちょっと違う。
横に並んだ関係の中で生まれる、日本的な愛を詞にしたのです。”
(2020.2.10週刊現代より)
悲しいストーリーの歌詞に対し、
楽曲はフォークの3フィンガーギターが淡々とメロディーを刻みます。
こんな悲しい思いなのに何もなかったかのように日常は過ぎていく
という風情でますます悲しくなってしまいます。