ときめき映画館#冬の映画劇場「あげまん」 | 春夏秋冬✦浪漫百景

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季節の移ろいの中で...
歌と画像で綴る心ときめく東京千夜一夜物語

あげまん

あげまんは、1990年に公開された日本映画。

伊丹プロダクション制作、東宝配給。

監督・脚本は『マルサの女』『マルサの女2』で大ヒットを記録した伊丹十三で、

主演は宮本信子。

愛した男になぜかツキをもたらす芸者上がりの「あげまん」・ナヨコ(宮本)と、

彼女に翻弄される男たちの姿を描く。

この映画により、「あげまん」は当時の流行語になった。

宮本信子の小唄の師匠の話を伊丹十三が聞き映画化、

飯島早苗脚本、井上思の演出で舞台化もされた。

あらすじ

男にツキをもたらす“あげまん”の女と、

彼女に関わる男たちとの人間模様を描いたコメディ・ドラマ。

捨て子だったナヨコは芸者の置屋にあずけられ、やがて僧侶・多聞院と結婚する。

多聞院の位はめきめきと高くなっていくが、しばらくして多聞院は病死。

その後、ナヨコが出合った銀行員・鈴木主水もどんどん出世していく。

「彼女と恋仲に落ちる男は運気が上昇する」といった噂が巷で広がりつつある中、

彼女の“あげまん”ぶりに政界の黒幕である大倉善武も目を付けていた…。

“あげまん(上昇運)の女”と呼ばれるヒロインと、

彼女に携わる男たちの葛藤をユーモラスに描く。

性格のよい女との幸せな日々に男が慣れて慢心し、

その女を失う時期は自身の色々な問題が表面化していく時期と重なるという感じ。
別れの際ナヨコのいう「あぁ、楽しかった。

もっと楽しくなれたのに」が印象的。
伊丹十三監督はまず映画は娯楽だというところがブレないのが好き。
冒頭の貧しい街並みに真っ赤な橋の欄干が入り込んでいる構図は見事と思った。
10億円引きずって現れるナヨコはちょっと唐突だったが、

まぁそれもあげまん演出ということで。

 監督:伊丹十三 音楽:本多俊之

キャスト

 ·宮本信子 · 津川雅彦 · 大滝秀治 · 北村和夫 

· 洞口依子 · 宝田明 · 高瀬春奈 · MITSUKO 

· 島田正吾 · 橋爪功

 

ナヨコ
演 - 宮本信子
あげまんの素質があるとされる芸者。芸者としての名前は“なよきち”。
元捨て子で養父母に育てられた後、
置屋での修業を経て芸者となった18歳の頃に僧侶・多聞院に水揚げされ、
短大入学後は昼間にビジネスを学びながら夕方から芸者として働き、
夜は多聞院との生活を送る。
21歳の頃に亡き多聞院の母から邸宅と彼の遺産を譲り受け、
一ツ橋銀行の秘書に転職する。30歳を過ぎた頃に結婚相談所に訪れる。
その後再び芸者に戻る。明るい真面目な性格で物事の飲み込みが早く、
恋愛に関しては男に尽くすタイプ。
観察力に優れおり、その場の状況を瞬時に把握したり、
相手がどういう人物かを見抜くことに長けている。
 
鈴木主水(もんど)
演 - 津川雅彦
一ツ橋銀行の三ツ浜支店長。ナヨコと知り合う直前に融資先の倒産、
部下が集金袋をひったくられるなど不運が続いた後、
たまたま乗り合わせた満員電車で彼女に痴漢と間違えられて知り合う。
ナヨコからは陰で「仕事では二番手タイ」と評されている。
“みなとまち支店”の支店長として異動した後業績を伸ばして本店に異動となる。
調子のいい性格で打算的な所があり、
女好きで以前から恋人がいながら複数の女性との浮気を繰り返している。
 
 
多聞院
演 - 金田龍之介
僧侶。62歳。ナヨコを見初めて置屋に水揚げの許可を申し出る。
年齢もあり勃起不全でコンプレックスを感じており、
夜の行為はナヨコの体を手で撫でるだけで我慢している。
 
 
大倉善武(ぜんぶ)
演 - 島田正吾
物腰の柔らかい老人だが、実は日本の政治を陰で動かしている大物フィクサー。
肩まで伸びた白髪に、隻眼なのか左目に黒い眼帯をしている。
普段は株取引で儲けており、3億円ほどの大金を邸宅に保管している。
寿に「運がある女」を探してもらっていた所ナヨコを紹介され、
「菩薩のようないい女」「あげまんの相がある」として気に入る。
その後置屋の経営を始め、一緒に暮らし始めたナヨコから、
“お父さん”と呼ばれるようになる。大好物は葛切り。
以前から呼吸器系の持病があり、
自宅には発作が起きた時の酸素ボンベを置いて時々使っている。
 
千々岩頭取(ちぢいわ)
演 - 大滝秀治
一ツ橋銀行の頭取。ナヨコの人を見抜く力を信頼している。
ナヨコが多聞院と結婚した頃に彼の母を通じて知り合う。
それ以来、多聞院亡き後のナヨコを銀行で雇ったり見合い話を持ってくるなど、
気にかけている。これまで主水に目をかけてきたが、
銀行の得意先の娘と付き合う彼との恋愛のゴタゴタに気を揉む。

主水と関わる女たち

瑛子
演 - MITSUKO
主水の恋人。千々岩を「おじちゃま」と呼び慕っている。
主水のためを思って仕事に口を出すが、
彼から余計なことをしないよう言われている。
離婚歴があり、前夫とは1ヶ月の夫婦生活で別れた。
高級志向の派手好きで怒ると気性が荒い性格。
父親は、一ツ橋銀行をメインバンクにしている大得意な取引相手。
純子
演 - 洞口依子
主水の愛人。
ただし、他の浮気相手と違い主水から「君は僕の恋人」との言葉を信じており、
自身が愛人であることは知らない。
数日前から主水にほったらかしにされているように感じて彼に愚痴をこぼす。
趣味は編み物で、主水に手編みのマフラーなどを時々渡している。
サヨリさん
演 - 南麻衣子
主水の愛人。喫茶店の店員。
ある日喫茶店で客として来た主水が純子に泣きつかれるやり取りを、
レジ係をしながら様子をうかがう。
性行為中に以前より主水の体重が増えたことに気づく。
毛皮屋の女主人
演 - 高瀬春奈
主水の愛人。サヨリさんが働く喫茶店の隣に店を構える。
瑛子の誕生日を忘れていた主水が、慌てて店にプレゼントを買いに来る。
ナヨコと付き合ってからも、隠れて時々関係を持つ。
ロケーション

物語中盤に登場するお座敷は、

取り壊されてビルになる前の赤坂の料亭たん熊が使用された。
また政界の大物である大倉善武の屋敷は、
護国寺の月光殿(重要文化財)が使われた。
ほかに日枝神社 (千代田区)境内、ホテル虎ノ門パストラル、
飯田橋ホテルエドモント、原宿パレフランセ、綱町三井倶楽部(映子の家)、
森稲荷神社 (東京都中央区佃)、渋谷EX、
日本橋北陸銀行(現在の東京支店に当たる店舗だが、
2019年に日本橋室町三井タワーに移転している)、
日比谷東宝本社屋上などが使われた。
伊丹十三
1984年(昭和59)に監督第1作『お葬式』を発表し
キネマ旬報ベスト・テン第1位など多数受賞。
 以降、1997年(平成9)までに10本の脚本監督作品を発表。