新春映画劇場
「男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け」
『男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け』
1976年7月24日に公開された日本映画。
『男はつらいよ』シリーズの17作目。
ロケ地は
兵庫県龍野(現:たつの市)
岩見港、中垣内川、清江橋、梅玉旅館(宴会)、龍野橋、龍野公園、武家屋敷跡、
中原邸、龍野醤油ヒガシマル醤油第二工場、国民宿舎「赤とんぼ荘」前)
さわり
上野の飲み屋で、みすぼらしい老人と出会った寅さんは、
気の毒に思いとらやに連れて来てしまう。
その老人は、日本画の大家・池ノ内青観(宇野重吉)だった。
世話になったお礼として青観が描いた絵をめぐり、
とらやでは大騒動が巻き起こり、寅さんは旅に出ることに。
ところが兵庫県龍野で、寅さんは青観と再会、市長の接待を受け、
芸者ぼたん(太地喜和子)と意気投合。
しばらくして、ぼたんが、
客だった鬼頭(佐野浅夫)に貸した二百万円を踏み倒されそうになって上京。
あまりにも理不尽な事態に、憤慨した寅さんは・・・
寅さんと日本画檀を代表する画家の友情は、
シリーズの楽しさの一つである「寅さんとインテリ」のバリエーション。
さらに、
気っぷの良い姉御肌の龍野芸者ぼたんは、太地喜和子の好演もあって、
寅さんとピッタリの相性。
ゲストとマドンナのバランスが絶妙で、佳作となった。
青観の正体がわかっても、身分の隔てなく、
自分のスタンスでつき合う寅さんの魅力。
青観のかつての恋人・志乃役で、岡田嘉子が久しぶりに日本映画に復帰した。
映画『男はつらいよ』(第17作)予告編映像
キャスト
- 車寅次郎:渥美清
- さくら:倍賞千恵子
- 芸者ぼたん:太地喜和子
- 車竜造:下條正巳
- 車つね:三崎千恵子
- 諏訪博:前田吟
- 社長:太宰久雄
- 源公:佐藤蛾次郎
- 満男:中村はやと
- 観光課長:桜井センリ
- 龍野市市長:久米明
- 青観夫人:東郷晴子
- 城戸卓
- 飲み屋の女将:西川ひかる
- 印刷工:笠井一彦
- お手伝い1(池ノ内家):岡本茉利
- マンションの管理人:佐山俊二
- 観光係員・脇田:寺尾聰
- 鬼頭:佐野浅夫
- 大雅堂の主人:大滝秀治
- 御前様:笠智衆
- 志乃:岡田嘉子
- 池ノ内青観:宇野重吉
タイトルの「夕焼け小焼け」は、
龍野出身の三木露風が作詞した『赤とんぼ』より。
市長室に歌詞を大書した額が飾られ、
市長の挨拶や市の観光課長の案内の中にも三木露風の話が出てきているし、
防災行政無線でも『赤とんぼ』が流れている。
主題歌の2番の歌詞が特殊である。
「当てもないのにあるよな素振り それじゃ行くぜと風の中
止めに来るかと後振り返りゃ 誰も来ないで汽車が来る
男の人生一人旅 泣くな嘆くな 泣くな嘆くな影法師 影法師」
岡田嘉子がソ連から帰国後、
初めて映画、テレビドラマで役を演じたのが本作である。
記録
観客動員:168万5000人
配給収入:9億7400万円(9億1000万円とも)
受賞
第31回毎日映画コンクール日本映画優秀賞
キネマ旬報BEST10第2位(シリーズ全作品中、最高順位)
同・助演女優賞/太地喜和子
第19回ブルーリボン賞BEST10ランク
第1回報知映画賞助演女優賞/太地喜和子
第5回文化庁優秀映画
松竹映画『男はつらいよ』シリーズは、
山田洋次原作・脚本・監督(一部作品除く)
渥美清主演で1969年に第1作が公開され、
以後1995年までの26年間に全48作品が公開された国民的人気シリーズです。
歴代マドンナ
作数 |
タイトル | 女優 | 出演時年齢 | 役名(職業) |
---|---|---|---|---|
1 | 男はつらいよ | 光本幸子 | 26歳 | 坪内冬子(御前様の娘) |
2 | 続・男はつらいよ | 佐藤オリエ | 26歳 | 坪内夏子(音楽家・チェロ奏者) |
3 | 男はつらいよ フーテンの寅 | 新珠三千代 | 40歳 | 志津(温泉旅館の女主人) |
4 | 新・男はつらいよ | 栗原小巻 | 25歳 | 宇佐美春子(幼稚園の先生) |
5 | 男はつらいよ 望郷篇 | 長山藍子 | 29歳 | 三浦節子(美容師・豆腐屋の娘) |
6 | 男はつらいよ 純情篇 | 若尾文子 | 38歳 | 明石夕子(おばちゃんの遠縁) |
7 | 男はつらいよ 奮闘篇 | 榊原るみ | 20歳 | 太田花子(紡績工場勤務→小学校手伝い) |
8 | 男はつらいよ 寅次郎恋歌 | 池内淳子 | 38歳 | 六波羅貴子(喫茶店ロークの女主人) |
9 | 男はつらいよ 柴又慕情 | 吉永小百合 | 27歳 | 高見歌子(OL) |
10 | 男はつらいよ 寅次郎夢枕 | 八千草薫 | 41歳 | 志村千代(美容院の女主人) |
11 | 男はつらいよ 寅次郎忘れな草 | 浅丘ルリ子 | 33歳 | リリー松岡(旅回りの歌手) |
12 | 男はつらいよ 私の寅さん | 岸惠子 | 41歳 | 柳りつ子(画家) |
13 | 男はつらいよ 寅次郎恋やつれ | 吉永小百合 | 29歳 | 鈴木歌子(図書館勤務) |
14 | 男はつらいよ 寅次郎子守唄 | 十朱幸代 | 32歳 | 木谷京子(看護婦) |
15 | 男はつらいよ 寅次郎相合い傘 | 浅丘ルリ子 | 35歳 | リリー松岡(旅回りの歌手) |
16 | 男はつらいよ 葛飾立志篇 | 樫山文枝 | 34歳 | 筧礼子(大学の考古学研究室助手) |
17 | 男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け | 太地喜和子 | 33歳 | ぼたん(芸者) |
18 | 男はつらいよ 寅次郎純情詩集 | 京マチ子 | 52歳 | 柳生綾(無職) |
19 | 男はつらいよ 寅次郎と殿様 | 真野響子 | 25歳 | 堤鞠子(運送会社の事務員) |
20 | 男はつらいよ 寅次郎頑張れ! | 藤村志保 | 38歳 | 島田藤子(土産物店の女主人) |
21 | 男はつらいよ 寅次郎わが道をゆく | 木の実ナナ | 32歳 | 紅奈々子(松竹歌劇団スター) |
22 | 男はつらいよ 噂の寅次郎 | 大原麗子 | 32歳 | 水野早苗(とらやのお手伝い) |
23 | 男はつらいよ 翔んでる寅次郎 | 桃井かおり | 28歳 | 入江ひとみ(田園調布のお嬢様) |
24 | 男はつらいよ 寅次郎春の夢 | 香川京子 | 48歳 | 高井圭子(翻訳家) |
25 | 男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花 | 浅丘ルリ子 | 40歳 | リリー松岡(旅回りの歌手) |
26 | 男はつらいよ 寅次郎かもめ歌 | 伊藤蘭 | 25歳 | 水島すみれ(奥尻のスルメ工場勤務→学生) |
27 | 男はつらいよ 浪花の恋の寅次郎 | 松坂慶子 | 29歳 | 浜田ふみ(芸者) |
28 | 男はつらいよ 寅次郎紙風船 | 音無美紀子 | 32歳 | 倉富光枝(テキ屋の女房→旅館の仲居) |
29 | 男はつらいよ 寅次郎あじさいの恋 | いしだあゆみ | 34歳 | かがり(陶芸家のお手伝い) |
30 | 男はつらいよ 花も嵐も寅次郎 | 田中裕子 | 27歳 | 小川螢子(デパート店員) |
31 | 男はつらいよ 旅と女と寅次郎 | 都はるみ | 35歳 | 京はるみ(演歌歌手) |
32 | 男はつらいよ 口笛を吹く寅次郎 | 竹下景子 | 30歳 | 石橋朋子(蓮台寺の娘) |
33 | 男はつらいよ 夜霧にむせぶ寅次郎 | 中原理恵 | 26歳 | 小暮風子(美容師) |
34 | 男はつらいよ 寅次郎真実一路 | 大原麗子 | 38歳 | 富永ふじ子(主婦) |
35 | 男はつらいよ 寅次郎恋愛塾 | 樋口可南子 | 27歳 | 江上若菜(写植オペレーター) |
36 | 男はつらいよ 柴又より愛をこめて | 栗原小巻 | 40歳 | 島崎真知子(小学校教師) |
37 | 男はつらいよ 幸福の青い鳥 | 志穂美悦子 | 31歳 | 島崎美保(旅館のコンパニオン) |
38 | 男はつらいよ 知床慕情 | 竹下景子 | 34歳 | 上野りん子(獣医師の娘) |
39 | 男はつらいよ 寅次郎物語 | 秋吉久美子 | 33歳 | 高井隆子(化粧品の美容部員) |
40 | 男はつらいよ 寅次郎サラダ記念日 | 三田佳子 | 47歳 | 原田真知子(女医) |
41 | 男はつらいよ 寅次郎心の旅路 | 竹下景子 | 36歳 | 江上久美子(ウィーンの観光ガイド) |
42 | 男はつらいよ ぼくの伯父さん | 檀ふみ | 35歳 | 奥村寿子(及川泉の伯母・主婦) |
43 | 男はつらいよ 寅次郎の休日 | 夏木マリ | 38歳 | 及川礼子(及川泉の母・クラブのチーママ) |
44 | 男はつらいよ 寅次郎の告白 | 吉田日出子 | 47歳 | 聖子(料亭の女主人) |
45 | 男はつらいよ 寅次郎の青春 | 風吹ジュン | 40歳 | 富永蝶子(理髪店の女主人) |
46 | 男はつらいよ 寅次郎の縁談 | 松坂慶子 | 41歳 | 坂出葉子(神戸の料理店経営) |
47 | 男はつらいよ 拝啓車寅次郎様 | かたせ梨乃 | 37歳 | 宮典子(写真が趣味の主婦) |
48 | 男はつらいよ 寅次郎紅の花 | 浅丘ルリ子 | 55歳¥ | リリー松岡(元・旅回りの歌手) |
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最年少は20歳(榊原るみ)、最年長は52歳(京マチ子)