経済法は、行為類型を外さなければある程度の点数がつきます。

 しかし、それだけでは高得点を取ることができません。
 そこで、今回は、経済法の令和4年の採点実感を分析することで高得点を取るコツを研究してみましょう。

1 行為類型の選択の仕方
 「一般指定第10項又は第14項のうち、前者のみを選択している答案が多く、後者のみ を選択している答案は少なかったが、いずれの答案についても、それぞれの要件を的確に 検討していれば同等に評価した。また、これらの双方を選択している答案も少数ながらあ り、これらの答案については、より適切に検討されている行為類型を基本的な評価の対象 とし、他方の行為類型も的確な検討がされていれば加点の対象とした。」
 ⇒問題となりそうな行為類型が2つある場合には、両方を検討すると加点の対象となる

2 行為要件
「一般指定第10項を選択した場合には「他の商品」及び「購入させ(る)」の各要件に ついて、一般指定第14項を選択した場合には「競争関係」及び「取引を…妨害する」の各要件について、それぞれ文言の解釈を行って規範を定立した上で、問題文に記載された事実関係を簡潔に当てはめ、いずれの要件も充足するとしている答案が多かった」 
 ⇒文言の解釈について三段論法の形を取り、当てはめは端的に行う。

3 公正競争阻害性
 「不当に」の解釈については、一般指定第10項又は第14項のいずれを選択した答案 においても、公正競争阻害性(独占禁止法第2条第9項第6号柱書の「公正な競争を阻害するおそれ」)を意味することを指摘しているものが大多数であったが、これらの中には、 本問の事実関係の下では主に自由競争減殺効果の有無が問題になり得ることや、自由競争減殺効果とは競争の実質的制限に至らない程度の自由競争の制約(競争の実質的制限の前 段階ないし萌芽的段階)であることについては正確に論じていない答案もあった。
 ⇒当該公正競争阻害性が主に自由競争減殺を意味することを明示した上で、かつ、自由競争減殺効果とは競争の実質的制限に至らない程度の自由競争の制約であることも明示する。

4 市場画定
 市場画定については、自由競争減殺効果の認定に当たって市場を画定する必要があることを簡潔に論じた上で、その画定方法につき、商品範囲(商品市場)及び地理的範囲(地理的市場)のそれぞれについて、需要の代替性を基本としつつ、必要に応じて供給の代替性を考慮することを正確に論じている答案が多かったが、市場画定を行う理由について何ら言及していない答案や画定方法の内容が不正確な答案も少なくなかった。

 また、具体的な市場としては、「日本におけるY社製甲向け乙の製造販売市場」とする答案が多数である一方で、「日本における乙の製造販売市場」とする答案も一定数あり、いずれであっても的確な論述がされていれば同等に評価した。

 しかし、市場の画定方法を本問の事実関係に的確に当てはめて結論を導いている答案は少なく、特に、甲の購入者が甲の購入時に乙の交換費用や交換時期を十分に認識していないことを市場画定において考慮すべき事情として指摘し、適切に評価しているものは非常に少なかった。
 ⇒市場は、商品範囲(商品市場)及び地理的範囲(地理的市場)のそれぞれについて、需要の代替性を基本としつつ、必要に応じて供給の代替性を考慮することを示す。
 ⇒市場の画定を行う理由や画定方法の内容を示す。
 ⇒具体的な市場の分析に関し、的確な論述であれば、点数がもらえる。

5 市場分析
 市場分析については、ほぼ全ての答案が自由競争減殺効果を認定していた。このうち、 「日本におけるY社製甲向け乙の製造販売市場」を市場として画定した答案においては、 その認定の根拠となる非純正品メーカーに関する事情として、本件行為後に製造販売され たY社製甲向け乙の製造販売が不可能となることを指摘しているものが多かったものの、 本件行為前に製造販売されたY社製甲向け乙の製造販売が当面は可能であることも踏まえ て検討を行っているものはほとんどなかった。

 他方、「日本における乙の製造販売市場」 を市場として画定した答案においては、非純正品メーカーが本件行為によって制約を受けるのは乙全体の製造販売ではなくY社製甲向け乙の製造販売に限られることなどの本問の 事実関係を踏まえた検討が十分にできているものは少なかった。

 なお、「甲の製造販売について約20パーセントのシェアを有するにすぎず、独占禁止法違反行為を行い得る力を有していない」とのY社の主張について、市場画定や市場分析と関連付けて、検討すべき市場を誤るものであること(甲の市場ではなく乙の市場であること)を端的に指摘している答案は少なく、検討すべき市場における自由競争減殺効果との関係で意味があるとしても、単純に約20パーセントのシェアを有するにすぎないことだけで同効果を否定することはできないと指摘する答案も多くなかった。
 ⇒自己が画定した市場に対して、自由競争減殺効果との関係で意味があることを示す

6 正当化事由
 正当化事由については、Y社の主張する「製品の安全性(の)確保」を正当化事由に関する事情と位置付け、目的の正当性及び手段の相当性の両面から評価する方法ないしこれに類する評価方法を規範として定立した上で、目的の正当性及び手段の相当性の一方又は双方を否定するなどして、正当化事由の存在を否定する答案が多かった。

 もっとも、正当化事由の検討の前提として、そもそも製品の安全性の確保が公正競争阻害性の判断においてなぜ考慮要素となるのかという点について言及している答案はあまりなかった。
 ⇒正当化事由は、①目的の正当性及び②手段の相当性の観点から判断する。
 

採点実感は宝の山です。他の科目もしっかりと読みましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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