第4話〜発覚〜
都内某所………。
「おはようございま〜す」
「未来(みらい)か、晴斗(はると)は?」
「晴斗?晴斗がどうしたの?」
「卵買いに行かせたんだけど帰ってこないんだよ〜未来。様子みてきてくれねぇか?事故とかしてなきゃいいけど」
未来は店にバックを置くと車で晴斗を探しに業務用スーパーへ向かった。
未来が車を進めていくと警察官が多いことに気づいた。警官が笛を鳴らして未来の乗る車を止めた。
「どこ行くの?この先は危ないから!下がって」
「この先の業務スーパーに行きたいんですけど」
「この先で変な奴が暴れてるから、今は行けないな」
未来は仕方なく車をUターンさせると路肩に駐車し、歩道を小走りに先程の警官達がいる所まで向かった。
警官達が必死に野次馬やマスコミの対応をしている。
近くにあった歩道橋を登ると、報道のカメラが少し離れた様子を撮影していた。
「この先で何があったんですか?」
「これ見てごらん」
未来がその映像を観ると2人の怪物が争っていた。
1人は蜘蛛の様な容姿をしており、もう1人は龍の様な容姿をしていた。
「まるで特撮作品でも撮っている気分だよ。ヒーローはいないけどね」
「この怪物って今朝のニュースでやってた遺跡から復活したっていう」
カメラマンはレンズを観ながら小さく頷いた。
未来はパトカーが停まっている所に晴斗のバイクがあることに気づいた。
「あれ、晴斗のバイク!」
「お、おい」
カメラマン達の横を抜け歩道橋の下に降りると晴斗のバイクに向かった。
「君、ここから先は立ち入り禁止だよ」
「パトカーの近くに晴斗のバイクがあるんです」
「バイク?おい、ちょっと確認しろ」
1人の警官がパトカーが停まっている所を確認しに行き、戻ってくると指示をした警官に耳打ちをする。
「あのバイクの所有者とのご関係は?」
「同じ喫茶店で働いている者です」
警官2人は顔を見合せ、他の警官を呼び警戒に当らせると未来を近くのパトカーに案内した。
「お名前を伺ってもよろしいですか?」
「佐藤 未来(さとう みらい)です」
「佐藤さん、あのバイクの所有者のお名前はわかりますか?」
「はい。名前は神田 晴斗(かんだ はると)です。」
「なるほど、この先で暴れている2人組の1人がその神田さんだと思われます。」
未来はさっき観た情景を思い浮かべるが晴斗がどちらかはわからなかった。
「晴斗は喧嘩とかしないと思うんですが、優しい人ですし」
「ですが、怪物の様な姿で殴りあってるんですよ」
「それじゃあ晴斗じゃないと思います。あの人はそういうことしないから」
「私たちもそう信じてますが、場合によっては逮捕することになるかもしれません。」
警官との話が終わりパトカーを降りると、龍の怪物がパトカーの近くに飛ばされてきた。
「俺が何したって言うんだ」
龍の怪物に目掛けて蜘蛛の怪物が飛びかかる。
警官は未来を庇う(かばう)ように立った。
「このままじゃ…死ぬ」
龍の怪物はスキャナーからカードを取り出しスキャンさせると、カードが光の粒子に変わり剣の形になった。
龍の怪物は剣で蜘蛛の怪物を袈裟斬り(けさぎり)に切りつけていく。
未来は子供の頃に観たヒーローショーを目の前で行われているような気分だった。
龍の怪物が再びカードをスキャンするとカードが光の粒子となり剣に集まり剣先が光を放つ。
蜘蛛の怪物が同じような動作をすると、蜘蛛の怪物の腕に生えた爪が光を放つ。
お互いが一撃を与える。龍の怪物の剣が蜘蛛の怪物の体を切り裂き、蜘蛛の怪物の爪は龍の怪物の腹に刺さっていた。
お互いに微動だにせず一言も発さない。蜘蛛の怪物の身体がゆらっと動くとその姿は砂のように崩れ去った。
「何とかなった…。」
龍の怪物が周りを見渡すと警官達が一斉に拳銃を向けていた。
「その持っているものを捨てなさい」
龍の怪物はその様子を観ると両手を上げて武器を地面に置いた。剣が地面に置かれると光の粒子になり怪物の体に入っていった。
「よし、次はそのコスプレ衣装を脱いで」
「どうやるんだろ、またあのビジョン出てこないかな」
龍の怪物の声を聴いた未来が龍の怪物に近寄る
「その声!晴斗なの?」
「未来ちゃん!ごめんすぐ卵買って帰るからさ」
「なんでそんな格好してるの?」
「なんかこう〜頭の中にこれ使えって言われてさ」
龍の怪物がスキャナーを取り外すと怪物の姿が光の粒子になり人間の姿に戻った。
「11時39分。公務執行妨害で逮捕する」
警官が神田に手錠をかけた。未来が近づこうとしたが、警官に止められ別のパトカーに乗せられた。
都内某所………。
「「速報です。ただいま入った情報によると、東京都の飲食店従業員。神田 晴斗容疑者を公務執行妨害で逮捕したとの事です。神田容疑者はスキャナーと呼ばれる箱型の物を使い警察官合わせて16人に暴行を加えた容疑がかけられています。」」
「晴斗が逮捕?」
誰も来ない店内でコーヒーを飲みながらテレビを観ていたおっちゃんはニュースの情報に驚きコーヒーを吹き出してしまった。
タオルで床を拭きながらテレビの音量を上げる。
「「先程入りました情報によると、神田容疑者は容疑を否認しているとの事です」」
「今日は誰も来ないし、卵も無いし、店閉めるか」
そう言うと、おっちゃんはテレビを消し、店の前にOPENと書かれた看板をCLOSEにすると車の鍵を持って駐車場へ向かった。