第3話〜戦士〜
東京都内某所……。
「おっちゃん?卵が無くなりそうだけど?」
「しまった〜昨日の買い出しで何か足りねぇとは思ってたんだよ〜。わりぃ晴斗。バイクで買い出ししてきてくれ」
厨房から出てきた青年は前掛けを外すと、店の駐輪場に向かった。
「行ってきま〜す」
青年は駐輪場に停めてあるバイクのエンジンをかけるとヘルメットを被り走り出した。
国道を走っていると、バイクから異音がしはじめ、青年はバイクを路肩に停めた。
「あれ?おっかしいな〜ガソリンは入ってるんだけどなぁ〜エンジンかな〜」
青年は行きつけバイク屋に電話をかけると、程なくして工具を持ったバイク屋の人が自身のバイクで来てくれた。
「神田。来たぞ」
「進藤さん。すいません。壊れてるのエンジンかな?って」
「吹かしすぎだな。プラグを交換すれば直る」
進藤(しんどう)はそういうと、持ってきた工具箱を開け手早くプラグを交換した。
「エンジンかけてみろ」
バイクからの異音も無くなり、マフラーからは軽快な音が鳴る。
「ありがとうございます。進藤さん」
「神田もたまにはウチに寄ってけよ。俺が全部見てやるから」
進藤は自分のバイクに跨る(またがる)とバイク屋へ帰って行った。
神田がバイクを発進させようとすると、後ろから5台のパトカーがサイレンを鳴らしながら走り去っていった。神田がパトカーを横目で見ていると、謎のビジョンが脳内で再生される。
ーーーあれは古代の戦士ーーースキャナーを使い鎧を着るーーー誰かと戦ってるーーー
「なんだ今の…スキャナーって…」
謎のビジョンを観た神田は急いでバイクのエンジンをかけるとパトカーを追った。
パトカーが大通りを曲がり、神田もそれ追うように曲がると全てのパトカーが信号も無い場所で停車している。
「道路の真ん中に立つんじゃない!危ないぞ」
パトカーの通行を遮る(さえぎる)様に道の真ん中に人が立っていた。神田もパトカーの後ろで停車する。
「ヤマトの末裔よ、スキャナーを渡せ」
箱型の物からカードをスキャンさせると光の粒子が全身を包み込んだ。その姿はまるで蜘蛛(くも)の怪人だった。
驚く警官達を瞬く間に蜘蛛の糸で動けなくすると、その糸を隣のビルの壁に貼り付けていった。
糸で身動きの出来ない警官も必死に抵抗するが動けば動くほどに蜘蛛の糸に絡まり脱出はほぼ不可能な状態になっていた。
「公務執行妨害で逮捕する」
1番後ろのパトカーの中からアタッシュケースを持ったスーツ姿の警官が1人降りてくるとその人を庇う(かばう)ように3人の警官が拳銃を構えた。
「逮捕?しらんな。スキャナーはその中か?」
「お前達は遺跡から蘇った時は日本語は話せなかったそうだな?」
「言葉くらいならば覚えれば済む話だ」
「それで、この箱型の物はスキャナーというのか」
「そうだ、騎士のスキャナーは力づくで奪うとしよう」
蜘蛛の怪物はアタッシュケースを持った男に飛び付くと人間とは思えない力でアタッシュケースを蹴り飛ばした。蜘蛛の怪物に向かって拳銃を撃つが、銃弾は怪物の身体に当たるものの足元に転がるだけだった。
「木場警部!弾が効きません。アタッシュケースを持って逃げてください」
「拳銃が効かないなんて、そんな馬鹿な」
木場はアタッシュケースを拾うと神田の方に走ってきた。その光景を見ていた神田はパニックになりながらも木場の所へ走り寄った。
「なんだ君は?ここは危ない。後ろに向かって走るぞ」
「なんなんですあれ、撮影じゃないですよね」
「ふざけてる場合じゃない。走れ」
拳銃の発砲音が鳴り響く中、神田と木場は道路を必死に走り怪物から距離を取っていく。
蜘蛛の怪物は木場が逃げた事に気づくと、拳銃を撃つ警官を糸で絡め取りパトカーに括り付ける(くくりつける)と、木場に向けて太い糸を口から吐いた。その糸が木場の体に巻き付くとアタッシュケースごと木場を電柱に叩きつけた。
転がるアタッシュケースを神田が拾うと、またあの時のビジョンが脳内で再生された。
「これってさっきのビジョンで見たやつだ」
神田はアタッシュケースを開けると、中には長方形の石で出来た物が入っていた。神田がそれを持つと、石が粉々に割れ、中から紋章の入った赤い箱型の物が現れた。
「それはまさしく龍のスキャナー、貴様騎士だったのか」
蜘蛛の怪物が倒れた木場に襲いかかろうとした時、スキャナーを持った神田を観て狂気に満ちた声をあげた。
「たしか、さっきのイメージだとこの中にカードが…。あった。チェンジ?鎧の絵が書いてあるからこれか!」
神田がスキャナーの中に入っていたカードをスキャナーに通すとカードが光の粒子に変わり、神田の身体を包み込んでいく。
光の粒子は龍の鎧となった。
「龍の戦士……。」
骨が折れて動けない木場は朦朧とする意識の中で神田がスキャナーを使い龍の鎧を身にまとった所で気を失ってしまった。
「次こそは貴様を葬ってやる」
「これ……どうなってるんだ?」
神田は窓に映った自分の姿と目の前で起こっている事に驚くことしか出来なかった。
蜘蛛の怪物は腕に生えた爪を神田に向けると、飛びかかっていった………………。