第5話〜騎士〜
警視庁内……。
「木場さんは無事なんですか?」
「木場は今病院で入院してるが命には別状は無い。それより、君は何故あんなことをしたんだ」
神田は取調室で警察官4人に囲まれた状態で取り調べを受けていた。
「スキャナーからビジョンが見えて〜」
「その話はさっき聴いたよ。それではいそうですか。ってなるわけないだろ。だいたい怪物みたいなコスプレ衣装着て喧嘩していいわけないだろ」
神田はスキャナーを使い、蜘蛛の怪物と戦った話を全て話したが、警察官は信用するはずもなくかれこれ1時間経っていた。
「三島警部。これ以上やっても同じことしか言わないと思います。信じたくはありませんが、嘘をついてるようには感じません。」
「そうはいっても警官が何人も殉職1歩手前にされたんだぞ。保釈するにしても危険すぎる」
取調室の扉がノックされ開けると、おっちゃんが立っていた。
「佐藤警視」
取調室にいた警察官達が佐藤に敬礼をする。
「もう引退した身だけどな」
「おっちゃん!」
「おい、晴斗。正直に応えろよ。何があった」
「スキャナーから何かこうメッセージみたいなのが流れてきて、その通りにしたらあんな姿になって」
佐藤が隣にいた警官に耳打ちすると、程なくして透明の袋に入ったスキャナーを持ってきた。
「晴斗。お前今は何かメッセージみたいなのは見えるか?」
「何も感じない」
佐藤はスキャナーをポケットからハンカチを取り出すとスキャナーを袋から取り出した。
「佐藤さん、これは貴重な証拠物品です。あまり触れられたくはありませんが」
「こいつの指紋はもう取ってんだろ?じゃあ少し増えたところで一緒じゃねぇか」
「それが、神田晴斗とは違う指紋も検出されてます」
「誰のだ?」
「鑑定の結果、数千年ほど前、つまり遺跡に眠っていた者と思われます」
警官達が神田の顔を観て腕組みをしていると三島警部の携帯が鳴った。
「わかった。新宿だな。わかった。すぐ向かう」
「事件ですか?」
「また怪物が現れたらしい」
「佐藤さん、この件は私が預かります。この押収品と神田さんを重要参考人として現場に一緒に同行願います」
佐藤が頷くと警官の1人が神田の手錠を外した。
三島警部に連れられ神田はパトカーに乗り込むと警視庁を出ていった。
新宿某所…。
既に警官が何人も拳銃を発砲していた。
「そのコスプレ衣装を脱いで大人しくしろ」
「ヤマトの戦士。槍を使うのは辞めたか?」
「大人しく武器を捨てろ」
カマキリの姿をした怪物は警官の拳銃を的確に狙いノコギリの様な形の武器で切り落としていった。
まるで豆腐を切るかのように綺麗に拳銃が真っ二つに切られていく。
発砲した弾丸は命中はするものの全く効果が無かった。
その警官達の後ろに三島警部の運転するパトカーが到着した。
「山本。無事か!」
「三島警部!拳銃が全く歯がたちません」
「なに?」
三島がカマキリの怪物の右太ももに向けて発砲するが、弾丸は怪物の体表で押し潰され足元に転がった。
「山本、一旦下がれ」
「俺がやります!」
神田がパトカーから降りるとカマキリの怪人の前に立ち塞がった。
「神田、やめろ!」
神田がスキャナーからチェンジと書かれたカードをスキャンする。カードが光の粒子になり神田を龍の騎士へと変身させた。
「これは…」
三島警部は目の前で起こっている事が理解出来なかった。しかし、カマキリの怪物はその神田の姿を観るやノコギリ状の武器を構えて突進してきた。
「龍の騎士!そのスキャナーを渡せ!!」
「やっぱりこのスキャナーを狙ってるのか!」
龍の騎士とカマキリの怪人は激しく掴みかかると殴り合いに発展した。
あとから到着した警官達が拳銃を一斉に構えた。
「よせ。拳銃じゃ」
三島警部の声が届く前に龍の騎士とカマキリの怪物に向けて発砲が繰り返される。龍の騎士は拳銃の音に驚き一瞬の隙を狙われカマキリの怪物に首を掴まれた。
「このままじゃ……死ぬ……うぉぉぉ!!」
龍の騎士は力を振り絞り腕を振りほどくと顔面へ渾身のパンチを繰り出す。
カマキリの怪物が怯む(ひるむ)と龍の騎士はスキャナーから剣の絵が描いてあるカードをスキャンさせた。
カードが光の流出になると剣の形へと変化した。
「これが、神田の言っていたスキャナーの力…」
その光景を観ていた三島警部は全ての警官にパトカーまで下がるように命令をした。
龍の騎士は剣を構えるとカマキリの怪物に切りかかる。怪物も武器をアスファルトに刺すとカードをスキャナーにスキャンさせた。
カードが粒子になりノコギリ状の武器に集まり、光を放つ。
「これで終わりだ!!!」
カマキリの怪物が武器を振り下ろす。カマキリの形をした斬撃の波動が飛んでいく。龍の騎士はその斬撃の波動を1本の剣で受け止めるが、耐えきれず三島警部のいるパトカーのボンネットに吹き飛ばされてしまった。
「神田!」
三島警部が龍の騎士を抱き抱えながら拳銃を放つが、やはり効き目は無い。
「三島さん。大丈夫です。俺やります」
龍の騎士が立ち上がるとスキャナーから龍の絵とファイナルと書かれたカードをスキャンした。カードが光の粒子になり剣に集まっていく。龍の騎士は八相の構えから深く腰を下ろした。
「おりゃぁああ!!!!!!」
龍の騎士が大きく振りかぶった剣を振り下ろすと剣から龍の形をした斬撃波が翔ぶ。カマキリの怪物は龍の斬撃波を全身で食らい、その身体は砂の様にサラサラと崩れ落ちていった。
「これがスキャナーの力……。」
戦闘を見届けた三島警部はどこかへ電話をかけた。警官達が龍の騎士に集まる。
「ありがとう。君、名前は?」
「おい、戻るぞ」
龍の騎士は三島警部に呼ばれるとパトカーに乗り込んだ。
「もうそのコスプレ衣装脱いでいいぞ」
龍の騎士がスキャナーを右手から外すと鎧が光の粒子になり神田の姿に戻る。
パトカーはサイレンを鳴らすと警視庁へと戻って行った。
「神田君、ありがとう」
三島警部が深々と頭を下げる。
「まぁ、誤認逮捕ってやつだ。晴斗、帰るぞ」
佐藤が車のエンジンをかける。
「三島さん。ありがとうございました」
神田を乗せた車はカフェへと帰っていった。
「そういえば未来をお前探しに行かせたんだけどな。合わなかったか?」
「あの現場に一緒にいたけど、俺がパトカー乗ってからは……。」
警視庁内……。
「あの。神田晴斗は〜」
「彼なら帰りましたよ?」
「何で私は帰れないんでしょう…」
「もう少し詳しくあの日の様子を話してもらいたいので」
「帰らせて〜〜〜〜」