京都の方言のことを俗に「京ことば」といったりします。いわゆる「京都弁」のことです。イメージ的には、祇園の舞妓さんが話す、かわいらしい響きの言葉かもしれません。
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1:京ことばはかわいい!
一般的には、京都も大阪も兵庫も奈良も和歌山も滋賀も「関西」というくくりでみられてしまうため、言葉としてはみんな同じ「関西弁」を話しているとおもっている人が多いかもしれません。ですが、実際は違います。
滋賀だと、江州弁というのがあります。ですが、江州弁も滋賀の地域によって微妙に異なります。
モデルの高橋メアリージュン・高橋ユウさんの姉妹は滋賀出身ですが、京都に近い大津出身ですし、ミュージシャンの西川貴教さんも滋賀出身ですが湖東地域です。高橋メアリージュンさん・ユウさんと西川貴教さんも、若干イントネーションが違ったりするんです。このあたりは、滋賀出身者じゃないとわからないかもしれません。
また、京都と大阪でも、「行きはる」「行かはる」と、同じ意味を指す言葉でも言い方が違ったりします。言葉って面白いですよね。
2:好きな関西弁と嫌いな関西弁
武庫川女子大学言語文化研究所が「好きな関西弁と嫌いな関西弁」に関する調査をおこなっています。せっかくなのでちょっと紹介しておきましょう。
(1)好きな関西弁
第1位 なんでやねん
第2位 ほんま
第3位 めっちゃ
第4位 あかん
第5位 あほ
第6位 知らんけど
「なんでやねん」の好きな理由には、「関西弁らしい」とか「ツッコミの定番でおもしろい」とか「使いやすい」からだそうです。6位には2022年末に発表された「ユーキャン新語・流行語大賞」でトップ10入りをはたした「知らんけど」が選ばれています。「絶対○○!」と断言したとしても、最後に「知らんけど」と言っておけば、責任回避ができる便利な言葉ですよね。ちなみに関西人的には「知らんけど」って言ったら、「知らんのかい」というツッコミが入ることを想定して、会話の盛り上がりも期待していたりします。
(2)嫌いな関西弁
第1位 どつく
第2位 いてまう
第3位 あほか
第4位 われ
第5位 やんけ
第6位 きもい
キツく聞こえたり、怖く感じたりする言葉があげられています。なかなか「いてまう」というのは、若いひとはもう知らない言葉かもしれません。おもしろいのは、「あほ」は好きな言葉でもあり、嫌いな言葉でもあるんですね。
3:京ことばに変換!かわいい京ことばフレーズ
では、「関西」以外のひとがおもう「かわいい京ことば」には、どんなものがあるのでしょうか。
(1)◯◯へんの?
「◯◯できないの?」を京ことばでは、「◯◯へんの?」と言ったりします。「明日、会えないの?」だったら、「明日、会えへんの?」という具合に。ちょっと響きが柔らかくなって、かわいらしい印象になりますよね。
(2)◯◯してはる
「◯◯してる」を京ことばでは「◯◯してはる」と言ったりします。疑問形なら「してはるん?」です。「なにしてんるん?」よりも「なにしてはるん?」のほうが、こちらも同じように響きが柔らかく聞こえますよね。
(3)うち
京ことばでは自分のことを「うち」と言ったりします。一般的には「うち」と聞けば「家」のことをイメージするかもしれませんが、京都では「私」という意味でも使います。「うちなぁ、このあいだ◯◯行ってきて」みたいな使い方です。
(4)ほんま
「本当」という言葉を「ほんま」といったりします。「本当に、好き」なら「ほんまに、好き」といった具合に。「ほんま」の方がなんだか「本当」よりも気持ちがこもっているような気がしませんか?
(5)ほな
「そうしたら」とか「だったら」という言葉を「ほな」と行ったりします。「そうしたら、行こうか」なら「ほな、行こうか」という具合に。ちょっと響きが柔らかくなって、かわいらしい印象になりますよね。
4:京都弁、大阪弁、神戸弁の違い
京都も大阪も兵庫も奈良も和歌山も滋賀も「関西」だからといって同じ「関西弁じゃない」ことはすでにお伝えしました。
たとえば、標準語の「食べている」という言葉は、大阪では「食べてる」ですが、神戸だと「食べとる」になったりします。京都だと「食べてはる」です。「来ない」の場合は、大阪だと「けえへん」、京都だと「きいひん」、神戸は「こうへん」というふうに違います。なかには、エリアをまたいで「こやん」「きやん」という風に話す若い人もけっこういます。また「何をしてるの?」とを尋ねるとき、大阪は「何してんねん?」ですし、神戸は「何しとん?」、そして京都は「何してはるん?」になります。
じつは大阪と京都だけを比べてみてもけっこうややこしいんです。たとえば「この本、読む?」と聞いたときの回答です。「読まない」と返事する場合、京都では「読まへん」というのですが、大阪では「読めへん」なんです。なにがややこしいかというと、例えば、英語の「can not」的に「読むことができない」と返事をする場合、大阪は「読まれへん」で京都は「読めへん」と。大阪と京都の「読めへん」では意味が変わってくるんです。
5:まとめ
方言は、「地方」の「言葉」で、その土地の歴史や風土のなかで育まれてきました。たしかに京ことばをかわいいと感じる人たちは多いのですが、なぜかわいらしい言葉が産まれたのか、本当は考えることが大切です。ちなみに、イントネーションも京都弁、大阪弁、神戸弁で違ったりするのですが、京言葉が生まれ発展してきた歴史も含めて、それはまた別の機会にゆずることにしましょう。