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高田龍の《夢の途中》

気がついたら、72歳に成ってました。
今までずいぶんたくさんのことを書いて来ました。
あと何年生きられるのか判りませんが、書き続ける事が生存確認でも有りますし生存証明でもあります。
宜しくお願い致します。

 今日は、突然ですが小説はお休みして、プロレスの話をお届けします。


あるレスラーと十年以上ぶりに話したのですが、その時の事です。

彼は昔、同じ団体にいた仲間と試合をする事になったそうです。


覆面を被って《ガ〜‼️》


ヘロヘロになっても《効いてねぇぞ〜》

と強がるキャラでプチブレイクしたレスラーです。


彼はこの昔の仲間との試合で、少し不愉快な思いをしたようです。


この対戦相手の《効いてねぇぞ〜❗️》くん。

いつの頃からかアマチュアのレスリングに傾倒していき、なんと社会人の大会で優勝してしまいました。


レスリングの試合中には、

《ガ〜ッ》も《効いてねぇぞ〜》も言わなかったと思いますが、とにかく優勝したそうです。


それは、彼の人生にとって大きな栄光だったと思います。

その後、彼は格闘技を教えてくれるジムの門を叩きます。

そして、蹴りやパンチも習得していきます。

身体も小さい《効いてねぇぞ〜》くん、いろいろ肩書きが着きました。


多分、人生でそんなにスポットライトを浴びた事も無かったであろう《効いてねぇぞ〜》くん、幸せだったんだろうと思います。


彼は若干ですが、ピント外れなところがありました。

きっと、このピント外れは治ってはいないんでしょう

私はそう思います。


彼は、まったく気がついてはいないと思いますが、私に対しても失礼極まりないことをしています。


まぁ、私のことはいいんですけど。


そして、彼との試合が始まりました。


プロレスの試合ですよ、皆さん。


今の世の中で、プロレスは真剣勝負だと思っている人っていないと思いますが、どうでしょう。

八百長などと言う言葉も死語になっています。


対戦する者同士が創り出す創り物の妙義を楽しむのがプロレスなんです。


だから、トップロープを飛び越えて来る選手を対戦相手は受け止める。


けして逃げたりしません。


それをしてしまったら、試合が成立しないからです。


人気選手の必殺技か炸裂してこそ、プロレスファンは納得するのです。

だから《効いてねぇぞ〜》くんが得意とするキックもパンチも相手は受け止めるのですよ、ねぇ。


勘違いな、独りよがりの選手がプロレスを壊すんです

とにかく、この二人の試合は終わりました。


そして《効いてねぇぞ〜》くんが言います。


『もう一回やろうじゃないか‼️』

会場の人達は固唾を飲んで

叩きつけたマイクを拾う彼の言葉を待ちます。


彼はマイクを拾いました。


そして一言‼️




『やだよ〜』


何故?


何故彼はこんなふうに言ったのでしょうか?


皆さんが考えてください。


《効いてねぇぞ〜》くんには、判りようもないでしょうが。


彼は、彼の立つリングにはこの男は立たせたくないと思ったのかも知れません。



《効いてねぇぞ〜》くん

だけが判れないんでしょうね。