高田龍の《夢の途中》 -124ページ目

高田龍の《夢の途中》

気がついたら、72歳に成ってました。
今までずいぶんたくさんのことを書いて来ました。
あと何年生きられるのか判りませんが、書き続ける事が生存確認でも有りますし生存証明でもあります。
宜しくお願い致します。


微妙な空気の中、二人を乗せた車は織田市長の自宅へ走る。
少しの沈黙のあとに、織田市長がまた話しを始め防人はそれに意識を集中した。
市長は、過去の記憶を確認するように話をする。  岬の突端からいつものように飛び込むと、今迄と違う場所へ私達は向かった。
潮の流れが速く激しいために普段は行かなかった外海側に向かったのだ。
海に潜ると私達がいた場所は海底から海面へまさに城壁のように聳え立つっていて外敵から何かを護っているかのように思えて、その雄大さに圧倒されてしまい恐怖さえ感じた。     三人は、その外海側へ飛び込んだ。
そこには必ず獲物が待っていると確信出来たからだ。何度も息継ぎをして魚の群れを探したが魚はいない。そのうちに現在は警察署長になった土井昂が声をかける。
『これ以上続けても無理かもしれん、潮の流れのせいなのか不思議に魚がいない、陽も傾いて来て中も暗くなってる、これ一回で今日は終わりにしよう』
土井の意見に反対する者は居なかった。
三人は一定の間隔を保って海の中へ潜って行ったが、直ぐに土井が何かを見つけたようで、他の二人に手を振って合図をしてきた。
三人は、海面に顔を出すと何が有ったのかを土井に尋ね、土井は自分の見たものを説明した。
『俺たちは魚を探して深い処ばかりに目を向けていてぜんぜん気が付かなかったけど壁のように見える岩場のずっと浅い処に階段のように彫り込まれた場所があるんだ』
土井にそう言われて私達は
岩肌に目をやった。
確かに階段のように彫り込まれた凹みが深い所から海面近くまで続いている。
それが自然の作り上げたものでは無い事は判る。
それではいったいなんの目的があって、誰がこんな場所に階段などを掘り込んだというのだろう。
日没の迫る頃、不思議な高揚感に包まれて三人は其々の家へと帰路に着いた。