『岬に待つ恐怖』 | 高田龍の《夢の途中》

高田龍の《夢の途中》

気がついたら、72歳に成ってました。
今までずいぶんたくさんのことを書いて来ました。
あと何年生きられるのか判りませんが、書き続ける事が生存確認でも有りますし生存証明でもあります。
宜しくお願い致します。



  『岬に待つ恐怖』



ご無沙汰致しました。

こんなことを何回言ったでしょうか。

今回から新しい章に入ります。

警察官になった土井昂と、消防署勤めの水盛志郎そして将来市長に成る織田三郎この三人が、永い空白の後

再び若い頃のような関係を取り戻し、またあの『岬』の何かと対峙する。

ご期待ください。


        《永い空白❶》


 その朝、水盛志郎は出勤の為に乗り込んだ車の中でもの思いに耽っていた。


永かった本当に永かった。


自分の中では修復することは出来ないと思っていた。


片時も忘れた事が無いとは言わないが、土井のことが話題に成る度に思い出していたのは間違いのないことだ。

あの日土井から連絡が来てその永年のことが解決したのには正直、驚きだった。


この日の水盛の心は晴やかだった。

幼い頃からの親友なのだから残りの人生は、この関係を大切にしていかなくてはいけないと、自分に言い聞かせた。


これからは三人の空白の時間を埋める努力をして行こう。

それはきっと織田も土井にしても考えは同じはずだ。


水盛は身体の何処かに血の流れを著しく悪くしている処が有って、その個所を永い間そのままにしていたが今それが、音を立てて流れ始めたのを感じでいた。


土井が電話をくれた後、三人の関係について考えた時よりも今朝の方が、確実にその未来が見えた気がしていた。


『岬』の問題は干からびてしまった訳ではない。遠回りした訳でもない。

一番いいタイミングを迎えるために、自分達では無いもっと大きな力がはたらいてその準備をしたんだと思った。


水盛はそれほど勘の良い方では無かったが『岬』の問題に関しては、その取っ掛かりに成る出来事が近づいていると思っていた。


そして〜


それはやって来た。