93歳と云う天寿をまっとうした山口某という方が長崎県に居たそうである。
多分、多くの方が知っている人の様だ。
私は、知らなかった。
その山口某という方、昭和20年8月、出張の為長崎から広島へ向かい、運悪く被爆してしまう。
更に、長崎に戻ると、また原爆の脅威に曝される。
『不幸』などと簡単には言えない悲惨な運命である。
その彼の事が、英国BBC放送の人気バラエティ番組に取り上げられた。
お笑い系の番組らしい。
笑いのネタにされたと云う事なのだろうが、この人の人生は何処を取り上げても、笑いにはならない。
笑いにしてはいけない。
93歳と、長寿だった事を取り上げ、不幸とも言えないといったコメントに対し、会場は笑いに包まれたそうである。
何でもかんでも、笑いにしてしまう風潮は日本でも同じだ。
ある物真似ぴん芸人の事を思い出した。
テレビで見ない日はないと云うほどブレイク中の
戦場カメラマンの物真似だった。
最後のオチに私は、少なからず驚かされた。
効果音の銃声、戦場カメラマンに扮した彼は、悶絶しながらその場に倒れ込み、終了。
テレビを観ていた私の中に、言いようのない不快感が残った。
戦場カメラマンの彼は、今迄も、そしてこれからも、現実の戦場で命を賭けて写真を撮り続けるのだ。
彼が、世界の戦場へ出向き、最前線の悲惨さを、戦争の残酷さを写真に収める為の経費を捻出するためにバラエティ番組に出演していることを知る人も多いと聞く。
異国の戦場で、彼が銃弾に倒れてしまう事も、砲弾に吹き飛ばされてしまうことも、可能性は、けして低く無い。
それは笑いのネタにされる様なものでは無いのだ。
不幸にも、二度も被爆してしまった方も、常に死の恐怖との対決も有ったろう。
多くの家族や、友人を奪い取られた悲しみを背負ったままの人生だったかもしれないのだ。
世の中、何でも有りではない。
