結論:決済日にやることは、この4つ
決済日は、次の4つを同じ日に、同じ場所で、順序よく進める日です。
● ① 買主から売主へ、残代金を支払う
● ② 住宅ローンを完済し、抵当権を外す登記(抵当権抹消登記)をする
● ③ 売主から買主へ、名義を移す登記(所有権移転登記)をする
● ④ 鍵と関係書類を、売主から買主へ引き渡す
この一連の流れを取りまとめるのが、提携の司法書士です。売主・買主は、書類と印鑑を揃えて臨めば大丈夫です。以下、順を追って、実例を交えながらご説明します。
決済までの全体像(時系列マップ)
決済は「その日いきなり」動くものではありません。実際は、1〜2週間前から準備が始まっています。
決済の1〜2週間前
● 売主:借入先の金融機関に完済予定日を連絡し、抵当権抹消に必要な書類の準備を依頼する
● 買主:住宅ローンの本審査が完了し、金融機関と金銭消費貸借契約を結ぶ
● 司法書士:権利証(登記識別情報)や印鑑証明書など、必要書類の事前チェックを行う
● 仲介会社:固定資産税等の精算金の起算日、管理費・修繕積立金の有無を確認する
決済の数日前
● 司法書士が、原本一式(権利証・印鑑証明書等)を実際に確認する
● 引渡し物件の最終内覧を行い、残置物や設備の状態を売主・買主双方で確認する
決済当日(多くは午前中に集中)
● ① 売主・買主・仲介担当・司法書士・金融機関担当者が、金融機関の一室などに集合する
● ② 買主の住宅ローンが実行される
● ③ 残代金が売主の口座へ振り込まれ、入金を確認する
● ④ 固定資産税等の精算金、管理費・修繕積立金の精算金を授受する
● ⑤ 抵当権抹消登記・所有権移転登記の書類に、売主・買主が署名捺印する
● ⑥ 仲介手数料の残金を支払う
● ⑦ 鍵一式と付帯設備の説明書・保証書を引き渡す
● ⑧ 司法書士が、その足で法務局へ登記を申請する(通常は即日〜翌営業日)
※ 金融機関の窓口時間の関係で、決済は平日午前中に設定されることがほとんどです。
必要書類チェック表
抵当権抹消登記と所有権移転登記は、別々の手続きです。それぞれ必要な書類が異なりますので、混同しないよう整理しておきましょう。
抵当権抹消登記(住宅ローンを完済する場合)
|
用意する人 |
必要書類 |
備考 |
|
金融機関 |
抵当権解除証書(弁済証書) |
完済後に発行される |
|
金融機関 |
登記済証または登記識別情報通知 |
抵当権設定時に発行されたもの |
|
金融機関 |
委任状・資格証明書(代表者事項証明書) |
発行後3か月以内が目安 |
|
売主 |
実印・認印 |
書類によって使い分け |
所有権移転登記(名義を売主から買主へ移す場合)
|
用意する人 |
必要書類 |
備考 |
|
売主 |
登記済権利証または登記識別情報通知 |
紛失時は代替手続きが必要(後述) |
|
売主 |
印鑑証明書 |
発行後3か月以内 |
|
売主 |
実印 |
登記委任状・書類に押印 |
|
売主 |
住民票 |
登記簿上の住所と現住所が異なる場合 |
|
売主 |
固定資産評価証明書 |
登録免許税の計算に使用 |
|
買主 |
住民票 |
新しい登記名義人の住所として使用 |
|
買主 |
実印・印鑑証明書 |
住宅ローンを利用する場合に必要 |
|
双方 |
本人確認書類(運転免許証等) |
司法書士による本人確認のため |
鍵・引渡し関係
|
用意する人 |
引き渡すもの |
備考 |
|
売主 |
鍵一式(合鍵含む) |
本数を事前にリスト化しておくと安心 |
|
売主 |
設備の取扱説明書・保証書 |
エアコン・給湯器など |
|
売主・買主 |
付帯設備表・物件状況等報告書の最終確認 |
契約時の内容と相違がないか確認 |
決済日に精算する費用の内容
決済日には、いくつもの費用が同時に動きます。誰が何を負担するのか、あらかじめ理解しておくと当日あわてません。
|
費用項目 |
目安 |
負担する人 |
備考 |
|
登録免許税(抵当権抹消) |
不動産1個につき1,000円 |
売主 |
土地・建物それぞれに課税 |
|
登録免許税(所有権移転) |
固定資産評価額×税率 (土地は原則1.5%、 住宅要件を満たす建物は 0.3%等の軽減あり) |
買主 |
軽減措置には期限・要件あり(後述) |
|
司法書士報酬 |
5万円〜10万円程度 |
買主(抵当権抹消分は売主) |
登記件数・報酬体系により変動 |
|
仲介手数料(残金) |
契約時に支払った額の残り |
売主・買主双方 |
宅建業法46条の上限内で設定 |
|
固定資産税・都市計画税の精算金 |
引渡し日を境に日割り計算 |
買主→売主 |
起算日(1月1日または4月1日)は地域の慣行で確認 |
|
管理費・修繕積立金の精算金 |
引渡し日を境に日割り計算 |
買主→売主 |
マンションなど区分所有建物の場合 |
|
印紙税 |
契約金額に応じた額 |
売主・買主 |
通常は契約時に契約書へ貼付済み |
|
振込手数料等 |
数百円〜数千円 |
実務上のルールによる |
金融機関により異なる |
出典:国税庁タックスアンサーNo.7191(登録免許税の税額表)
知っておきたい例外・経過措置
登録免許税の軽減措置には期限がある
土地の所有権移転登記にかかる登録免許税は、本則2.0%のところ、租税特別措置法により1.5%へ軽減されています。この軽減措置は延長が重ねられ、現在の期限は令和11年3月31日までです。
住宅用家屋(建物)の所有権移転登記の軽減(0.3%等)は、床面積50平方メートル以上であることや、取得後1年以内の登記であることなど、別途の要件があります。適用には市区町村が発行する「住宅用家屋証明書」の添付が必要です。適用期限は令和9年3月31日までとなっています。
出典:国税庁タックスアンサーNo.7191、財務省「登録免許税に関する資料」
権利証(登記識別情報)を紛失している場合
権利証や登記識別情報通知を紛失・失念している場合でも、所有権移転登記は可能です。司法書士による「本人確認情報」の作成や、法務局からの「事前通知」制度など、代替の手続きがあります。ただし通常より時間がかかりますので、契約後できるだけ早い段階でご相談ください。
抵当権抹消が決済日に間に合わない場合
残高計算のずれなど、まれに抵当権抹消登記の準備が決済日に間に合わないケースがあります。その場合は、金融機関・司法書士と相談のうえ、決済日そのものを調整するか、抹消登記のみ後日行う取り扱いとするか、事前に段取りを決めておきます。
確認資料と相談窓口
● 登録免許税の詳細 → 国税庁タックスアンサー No.7191
● 権利証・登記識別情報の取り扱い → 管轄の法務局
● 抵当権抹消の必要書類 → 借入先の金融機関
● 費用総額・当日の段取り → 提携の司法書士、住宅流通合同会社
税金や登記の個別具体的な判断は、税理士・司法書士など専門家にご確認ください。
実例(仮名・個人が特定されない形に加工しています)
白井市内にお住まいのAさん(70代)は、住宅ローンの完済が間近に迫った戸建てを売却されました。決済日の朝、金融機関の一室に、Aさんと買主、司法書士、仲介担当者が集合。抵当権抹消の書類と所有権移転の書類を、司法書士が一つずつ確認しながら署名捺印を進め、約1時間で手続きが終了しました。
Aさんは「難しい手続きだと身構えていたが、書類さえ揃えていれば流れに乗るだけだった」と話されていました。事前に司法書士が書類チェックを済ませていたことが、当日のスムーズな進行につながった例です。
売主の心得 ― 立つ鳥、跡を濁さず
引渡し物件の整備は、法律上の義務ではありません。ですが、次にその家に住む方への心遣いとして、多くの売主が大切にされています。
● 水回り(キッチン・浴室・トイレ)を中心とした簡単な清掃
● 残置物は決済前に処分しておく(引渡し後のトラブル防止にもなる)
● 庭木の手入れ、郵便受けまわりの整理
● 電気・ガス・水道の閉栓・精算手続きを済ませておく
● 可能であれば、近隣への簡単なご挨拶
こうした一手間が、買主にとって気持ちよいバトンタッチとなり、引渡し後のトラブル防止にもつながります。無理のない範囲で、少しだけ心を配っていただければと思います。
私が聞いた本当にあったはなし。
同僚の決済で、売主がおうちを引っ越し作業のまま、部屋の中や外がゴミや残材で散らかしてあり、かつ、室内の設備も清掃の兆候は全くなく、たぶん、いそがしかった(または、水を止めた?)のか、引っ越し作業が終わった後で、トイレを使用し、そのまま汚物を残して、引き渡したケースがあったそうです。
たいへんもめたそうです。契約手続きは終了しておりますが、売却する家も永く住んだ愛着のある家だったのではないでしょうか?(このケースでは疑わしいですが)。新しく住む方も当然、プロを交えた大掛かりな清掃またはリフォームをするのかもしれませんが、せっかく順調に進んだ取引を最後、苦い経験にしないよう、気を付けたいものです。
出典一覧
● 国税庁タックスアンサー No.7191「登録免許税の税額表」
● 財務省「登録免許税に関する資料」
● 不動産登記法
● 宅地建物取引業法 第46条(仲介手数料の上限)
住宅流通合同会社
千葉県白井市西白井4丁目29-9 FN BASE F号 TEL 047-406-4810
宅地建物取引業者免許:千葉県知事(2)第17629号
※本記事は一般的な決済・引渡しの流れをご説明したものです。税金・登記の個別判断は税理士・司法書士等の専門家にご確認ください。