【白井市・印西・北総線】売る?貸す?相続した家の「とりあえず放置」が一番高くつく理由── 改正空家法と2030年前後の“大相続時代”に、今から備える

白井市・印西市・北総線沿線で、親から受け継いだ家や部屋を「とりあえずそのまま」にしていませんか。

売るか、貸すか、住むか。決めきれないまま、固定資産税と管理費だけを払い続けている──そんな方は少なくありません。ところが2023年12月、空き家に関する法律(空家法)が改正され、放っておくだけで固定資産税の優遇が外れる仕組みができました。

しかも、団塊の世代が80代に入る2030年前後から、相続をきっかけに動く家はさらに増えていきます。不動産業務40年の現場から、「何もしない」が以前より安全ではなくなった理由と、今からできる備えをお伝えします。

この記事でわかること

・なぜ「2030年前後」に相続する家が一気に増えるのか

・改正空家法で新設された「管理不全空家」と、固定資産税の優遇が外れる仕組み

・「固定資産税が6倍になる」は本当か

・マンション・団地の一室を相続した場合の考え方

・売る・貸す・住む・解体・国に引き取ってもらう──5つの選択肢

1. 先に結論:「決めない」こと自体に、コストと期限がある

●     2023年12月の空家法改正で、「管理不全空家」として市から勧告を受けると、土地の固定資産税の優遇(住宅用地特例)が外れる

●     優遇が外れると、土地の税金は一般に3〜4倍程度に(「6倍」は単純計算の最大値)

●     相続から時間がたつほど、相続人が増え、登記の期限が迫り、税の特例の期限が切れ、建物が傷む

●     2030年前後からは、同じように家を手放したい人が増え、競争が激しくなる

●     だからこそ、先に動いた人ほど、選べる道が広い

2. なぜ「2030年前後」なのか

厚生労働省の人口動態統計によると、2024年・2025年と、年間の死亡数は約160万人。過去最多の水準が続いています。国立社会保障・人口問題研究所の将来推計(2023年)でも、死亡数は2040年代にかけて高い水準が続く見通しです。

そして、戦後すぐに生まれた団塊の世代(1947〜49年生まれ)が、2030年前後に80代に入ります。この世代が持つ家が、相続をきっかけに一斉に動き始める。それが「大相続時代」と呼ばれる理由です。

データ

数字

出典

年間の死亡数

約160万人(2024年・2025年)

厚生労働省 人口動態統計

全国の空き家

約900万戸(空き家率13.8%、過去最高)

総務省 令和5年住宅・土地統計調査

うち、使い道の決まっていない空き家

約385万戸

同上(賃貸・売却用・別荘などを除く)

 

白井・印西にではどうなる?

白井・印西の千葉ニュータウンは、1970年代末から入居が始まった街です。当時30〜40代で家を買われた世代が、いまちょうど70〜80代。同じ時期に、同じ街で、同じような家の相続が重なるということです。

同じ団地、同じ住宅街で、売りに出る家が増えれば、買い手や借り手に選ばれる側の競争になります。動き出すのが遅いほど、条件は厳しくなりがちです。

3. 2023年12月、空家法はこう変わった

「空家等対策の推進に関する特別措置法(空家法)」は2015年に始まりましたが、空き家は増え続けました。そこで2023年(令和5年)12月13日、法律が改正されました。

新設された「管理不全空家」

これまで、市町村が強く指導できたのは、倒壊の危険があるなどの「特定空家」になってからでした。改正後は、その手前の段階──放っておけば特定空家になるおそれがある空き家──を「管理不全空家」として、早めに指導・勧告できるようになりました。

段階

どんな状態か(例)

市町村ができること

管理されている空き家

定期的に換気・清掃・草刈りがされている

—

管理不全空家(新設)

窓や雨どいの破損、雑草の繁茂、外壁の一部剥がれなど

指導 → 勧告(勧告で税の優遇が外れる)

特定空家

倒壊の危険、衛生上の害、著しい景観の悪化など

指導 → 勧告 → 命令 → 代執行(解体)

 

勧告を受けると、固定資産税の優遇が外れる

家が建っている土地には、住宅用地特例という税の優遇があります(地方税法349条の3の2)。

●     200㎡以下の部分(小規模住宅用地):固定資産税の課税標準が6分の1

●     200㎡を超える部分(一般住宅用地):固定資産税の課税標準が3分の1

管理不全空家・特定空家として勧告を受けると、この優遇が使えなくなります。

「固定資産税が6倍になる」は本当?

よく「6倍になる」と言われますが、これは単純計算の最大値です。住宅用地でなくなった土地にも、税額が急に上がりすぎないようにする負担調整の仕組みがあるため、実際には都市計画税を含めて3〜4倍程度になることが多いとされています。

とはいえ、年5万円だった税金が年15〜20万円になれば、家計には大きな負担です。「6倍ではないから安心」ではありません。

そのほかの主な改正点

●     緊急代執行:危険が切迫している場合、命令などの手続きを経ずに、市町村が解体などを行える(費用は所有者に請求)

●     空家等管理活用支援法人:NPOなどが、所有者の相談や活用のマッチングを支援

●     空家等活用促進区域:市町村が重点地区を決め、空き家の活用を後押し

●     所有者の責務の強化:空き家を適切に管理し、国や自治体の施策に協力する努力義務

4. マンション・団地の一室を相続した場合は?

空家法は、基本的に建物単位で「使われていない状態が常態か」を見る法律です。そのため、分譲マンションや団地の一室だけが空いている場合は、通常、この法律の対象にはなりにくいと考えられます。

だからといって、放置して安心というわけではありません。

●     管理費・修繕積立金・固定資産税は、住んでいなくても毎月・毎年かかり続ける

●     長く使わないと、配管の劣化や漏水が起きやすく、下の階に被害が出れば損害賠償の問題に

●     管理組合から連絡がつかない「所在不明の所有者」になると、マンション全体の運営の妨げに

●     大規模修繕の一時金の請求が来ることも

一戸建ては「法律と税金」、マンション・団地は「お金と管理組合」。形は違っても、放置にはコストがかかるという点は同じです。

5. 「決めないまま」の間に、期限が次々にやってくる

相続した家を放置している間にも、さまざまな期限が進んでいきます。シリーズの他の回でも詳しく取り上げていますが、ここで一覧にしておきます。

期限・リスク

内容

相続登記の義務

取得を知った日から3年以内。昔の相続は2027年3月31日まで(シニアの不動産戦略 第3回)

空き家の3,000万円特別控除

一戸建ての空き家を売るとき。相続から3年目の年末までに売却、制度自体は2027年12月31日まで(第5回)

遺産分割の10年ルール

相続から10年で、介護の貢献などを反映した分け方が原則できなくなる(第4回)

相続人の増加

放置している間に相続人が亡くなれば、その家族も相続人に。話し合いが難しくなる

建物の劣化

人が住まない家は傷みが早い。価値が下がり、管理不全空家のリスクも上がる

 

40年の経験から、本音を言うと

「親の家を売るのは、なんだか申し訳ない」「片付けが大変で手がつけられない」。迷うお気持ちは、本当によく分かります。

でも、私が見てきた中で一番もったいないのは、売るか貸すかで悩んだ末の結論ではなく、「何も決めなかった」結果として選択肢がなくなってしまうケースです。決めるのは今でなくてもいい。でも、今の価値と選択肢を知っておくことだけは、早いほど良いのです。

6. 相続した家、選べる5つの道

選択肢

向いているケース

注意点

① 売る

使う予定がない、管理が難しい、相続人で分けたい

一戸建ては空き家特例の期限に注意。相続登記が先に必要

② 貸す

将来使う可能性がある、売り時を待ちたい

空き家特例は使えなくなる。定期借家で出口を確保(賃貸企画-3)

③ 住む・使う

子や孫が住む、セカンドハウス・作業場として

名義と費用負担を相続人で決めておく

④ 解体して土地を活用

建物が古く、修繕より解体が合理的

解体すると住宅用地特例がなくなり、土地の税金が上がる。解体と売却の時期をセットで

⑤ 国に引き取ってもらう

売れず、使い道もない土地

相続土地国庫帰属制度。建物は解体が必要、審査手数料1筆14,000円、負担金(原則20万円〜)

 

7. 白井市・印西市の空き家対策も活用を

白井市は、改正空家法を受けて「白井市空家等対策計画」(2023〜2027年度)を見直し、空き家の発生予防・適切な管理・活用に取り組んでいます。空き家の管理について、シルバー人材センターや千葉県弁護士会と協定を結ぶなど、所有者を支える仕組みもあります。

●     白井市の空き家に関する相談:市の空き家担当窓口(047-401-4675)

●     印西市の方も、市の担当窓口で空き家の管理・活用の相談ができます

行政の窓口は、制度や管理の相談に。「いくらで売れるか」「いくらで貸せるか」という具体的な数字は、地元の不動産会社に。両方を上手に使い分けてください。

8. 実例:白井市の実家、3年間の「とりあえず」(架空のケース)

※これまでのご相談でよく見られるパターンを組み合わせた架空の事例です。特定の方・案件を示すものではありません。

お母様が亡くなって3年。白井市内の一戸建ての実家は、都内に住む長男と、船橋市に住む長女の2人が相続しましたが、「いつか考えよう」とそのままになっていました。

1.    近所の方からの連絡──庭木が道路にはみ出し、雨どいが外れかけていると知らされる

2.    期限の確認──空き家の3,000万円特別控除の売却期限が、その年の12月末に迫っていることが判明。相続登記もまだだった

3.    今の価値を把握──売った場合・貸した場合・解体して土地で売った場合の手取りを比較

4.    決断──司法書士に相続登記を依頼し、並行して売却活動。期限内に売却でき、特例も使えました

「あと半年遅かったら、特例が使えず、税金が数百万円変わっていた」。ご兄妹がそう話されていたのが印象に残っています。

9. 今日からできる4つの手順

1.    手順1:家の状態を見に行く──屋根・外壁・雨どい・窓・庭木・郵便受け。写真を撮っておきます。

2.    手順2:名義と期限を確認する──登記事項証明書で名義を確認し、相続登記・空き家特例などの期限を一覧にします。

3.    手順3:今の価値を知る──売った場合・貸した場合・解体した場合の数字を並べると、家族の話し合いが進みやすくなります。

4.    手順4:管理の方法を決める──すぐに決められないなら、まず定期的な管理(換気・通水・草刈り)を。自分でできなければ、管理サービスや市の協定先も検討します。

まとめ:「とりあえず」は、もう安全な選択ではない

●     2023年12月の空家法改正で、管理不全空家として勧告されると土地の固定資産税の優遇が外れる

●     優遇が外れた税額は一般に3〜4倍程度。「6倍ではない」は安心材料にならない

●     マンション・団地の一室は空家法の対象になりにくいが、管理費・漏水・管理組合の問題は残る

●     相続登記・空き家特例・10年ルールなど、放置している間に期限は進む

●     2030年前後の大相続時代を前に、先に動いた人ほど、選べる道が広い

急がない、急かさない。でも、期限のあるものからは目をそらさない。迷っている段階でも構いません。売る場合・貸す場合の両方の見込みを、良い点もそうでない点も包み隠さずお伝えします。売上の大きさより、ご家族が笑顔で終われる取引を大切にしています。

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※本記事は2026年10月1日時点の法令・公表資料にもとづく一般的な情報提供です。空家法の運用や「管理不全空家」の判断は市町村ごとに異なります。税額や個別の判断は、市の窓口・税理士・司法書士にご確認ください。

参考・出典

●     国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律」(令和5年12月13日施行)

●     政府広報オンライン「空き家の活用や適切な管理などに向けた対策が強化。トラブルになる前に対応を!」

●     地方税法 第349条の3の2(住宅用地に対する固定資産税の課税標準の特例)

●     総務省「令和5年住宅・土地統計調査」

●     厚生労働省「人口動態統計」(令和6年・令和7年)、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(令和5年推計)」

●     法務省「相続土地国庫帰属制度の概要」

●     白井市「白井市空家等対策計画」