一緒に暮らし始めて半年ほどたった頃、

「仕事を手伝わないか?」と誘われ、

それから彼の仕事を手伝ってきた。

手伝ってきたといってもフルタイムではなく、

忙しい時にだけヘルプという形だ。


しかし、この不況により、ここ半年ほど仕事が少なくなり

「ryuが外で少しでも稼いできてくれると助かる」

と言われ、私はアルバイトを探すことになった。


仕事は見つかった。

来年1月から2ヶ月間という短期の仕事。


そして、彼の仕事も年明けからすぐ入ってくるようで

私としては、今回の2ヶ月間の仕事が終わったら

また彼の仕事を手伝うようになるのだと思っていた。


しかし、彼と話していると、

なんだか、ずっと私には外で仕事をしてほしいような口ぶりなのだ。


・・・・


この年で就職口を捜せと?

外でお金を稼いできて、ずっとアナタを助けていけと?


アナタ、分かっていないね。

アナタに養ってもらっているから

私はアナタのモラにも我慢しているのだよ?


もし私が仕事を持ったら

もうアナタと一緒にいたくなるかもよ?


前のダンナと別れた時もそうだった。

仕事を始めたことで、私は離婚に踏み切ることができたのだ。


来年・・・

また私は人生の岐路に立つことになるのだろうか・・・。

今日もまた行き先を告げず出かけていったモラ。

多分、歯医者なのだろうけれど、

「歯医者に行くの?」と聞いても、いつものように返事なし。


なので、出かける時はいつも見送るけれど、

今日は無視してやった。

フンッ!


さて、今、兄が故郷から出張で上京してきているので

明日、姉の家で集まることになった。

兄、姉夫婦、東京にいる兄の子供達、姉の子供達、

そして私の総勢8人。


そ・・・

モラは呼ばない。

仲間はずれ。


モラは兄には会ったことがない。

姉が「いい機会だし、お兄ちゃんに会わせたら?」と言ってくれたけど

迷わず断った。


当然、お酒も入るだろうから

どんな展開になるか、わかるから・・・。

最初はいい雰囲気になるかもしれないけれど、

最終的には、多分、み~んなイヤな思いをするだけだから・・・。


以前、お正月に姉夫婦と甥っ子をウチに接待した時も

結局は「あ~楽しかった」で帰れなかった。

多分、「あ~疲れた」だけだっただろう。


気づいていないのはモラだけ。

自分では最高の接待をしたと思っている。

皆を楽しませたと思っている。


そして、皆が帰った後、私に言った言葉がこれ。


「これだけお前の親戚に気を使ったんだから、満足だろ?」


驚いた。

アンタ、何様?

皆、楽しんだと思うの?

たまには人の顔色を見てみろよ。


友達にも会わせられないけれど

親族にはもっと会わせたくないなんて、

なんだかなぁ・・・。


ちなみに

今回、兄が来ていることはモラには言っていない。

「明日、姉の所に行ってくるから」

それだけ。


明日は羽根を伸ばしてこよう~っと!

テレビで見たりしますよね。

OLが給湯室で嫌いな上司のお茶に

雑巾で絞った水を入れたり

ツバを入れたりする場面。


そんなこと

私には絶対できないと思ってたけれど・・・

私、一度だけやったことがあります。


確か1年前ぐらいだっただろうと思うのだけど

朝、モラのコーヒーにツバを吐きました。


「ペッ」と!


そんな自分の行為に

自分でもびっくりしました。


そこまで私はモラを憎んでいるのかと

あらためて自分の気持ちを知りました。


もちろん、その後は一度もしていませんが・・・


一度たりとも

そんな気持ちになった相手と

この先、ずっとずっと一緒にいるなんて

やっぱりムリなのかもしれませんね・・・。

私はね・・・

忘れないよ。


モラ度が少なくって

どんなに優しい言葉をかけられても

アナタに言われた屈辱的な言葉、

イヤミなため息、

顔をしかめながらされる舌打ち、

それらはしっかり脳裏に焼きついて

消えることはない。


結構長く生きてきて

いろんな人と出会ってきたけれど

アナタのような人は初めてだったから

私の心の奥底に傷となって

残ってしまっているのだろう。


どうしても・・・

どうしても・・・

入籍することをためらってしまうのは

その傷のせいなのか・・・


アナタと同じ姓になることが・・・


アナタとこの先、ずっと一緒に歩いていくことが・・・


私にはどうしても

自分自身を納得させることができない。


「やめた方がいいかもね・・・」


もう一人の私の声なのか、

誰の声なのか分からないけれど

ずっとずっと

その声が聞こえたままなのだ・・・。

まだ一緒に暮らし始めて1年もたっていなかった頃。


皆でワイワイ!が大好きなモラが

社員と結婚退職した元社員夫婦などを集めて

あるイベントへ繰り出した時のこと。


「何してんだよッ!!」

「ばかやろう!!」


あることでモラが私を怒鳴った。

皆の前で。

それは普通の人ならば、決して怒鳴るようなことではない。

本当に何でもないことだ。


皆の前で怒鳴られ・・・

それも理不尽に・・・

悔しくて、悔しくて、涙が出そうになったけれど

「負けてたまるか」と

必死に涙をこらえた。


と、その時、

元女性社員の子がボソッと言った。


怒鳴れている私に

まるで哀れむような顔で

こう言った。


「かわいそう・・・」


怒鳴られたことより

その言葉の方がショックだったな・・・。


私って・・・

かわいそうなんだ・・・。

シャワーを浴びて、どこかに出かけようとしているモラ。

昨日、知り合いが入院したとか言っていたので

「病院に行くの?」

と聞いてみた。


外人のように肩をすくめて、返事なし。

オマエは欧米か!


いつもいつもそう。

どこに行くとも言わず、黙って出て行く。


自分から言う分にはいいけれど

聞かれて答えるのがイヤらしい。


仕事の時も(うちの仕事はいろんな場所に行くので)

「明日はどこ?」

と聞いても、すんなり答えが返ってくることはほとんどない。


なので、会社の社員に聞くことになるのだが

「え? 社長に聞けばいいじゃないですか」

と怪訝な顔をされる。


アンタがどこに行こうが一向に構わない。

ただ返事くらいしろ!


は~バカみたい!

何日か前に領収書を書いてくれるよう頼まれた。

宛先がまだ分からないので分かったら教えるからと。


で、今日、宛先を教えられたのだが・・・


「税込みだっけ?税別だっけ?」


と聞いたところ


「頼んだ時に言ったはずですけど?」


と、いつものようにため息をつかれ、

教えてくれようとしない。


確かに聞いた。

忘れた私が悪い。


でも、だからって、どうしてそんな意地悪をするのかな・・・。

人間だもの、忘れることだってあるじゃない。

「ごめん。忘れちゃった」って謝っているじゃない。


結局、教えてくれないので

税込みと税別、両方の領収書を作り、

どっちを渡してもいいようにした。


いつものように用もないのにトイレに行き、

小さい声でブツブツ、モラの悪口を吐きましたよ!


ほんとにイヤな男だ!

アンタの失敗も許さないからな!

また酔っ払って帰ってきて、いちゃもんのオンパレード。


モラ完全復活だ!!


何を言っても、出てくるのは否定する言葉とため息だけ。

一体私が何をしたっていうのだ。

アンタがムカつくようなことは一切言ってないつもりだけど?

気を使って、気を使って、しゃべっているつもりだけど?


どうしてお酒を飲むと、そうなるのか。


先日のあの反省の弁は何だったのか。

アンタはサル以下か?


そして、いつものように飲んで食べて帰ってくるくせに

「今日のメニューは何?」というメール。

そんなに私に楽をさせるのがイヤなのか?


案の定、帰ってきたって、

用意したものには、ちょこっと箸をつけただけ。


全く反省の色なしだ。


いい加減にせ~よ!

来月から少しずつ仕事が入ってくるようで

少し元気が出たモラは

それに伴い、モラぶりも少し復活してきた。


今日もテレビを見ていて、文句ばかり。

隣で聞いていて、ホント、ウンザリ。

テレビぐらい楽しく見ましょうよ。

お酒がまずくなるってば・・・。


テレビでハブを食べているおじさんを見て、モラが言った。


「そんな物まで食べること、ないだろーが!」

「俺は最近、蚊を殺すこともできないよ」


は?

この人、自分のこと、優しいって言いたいの?

なんという思い上がり。


言ってやりました。


「人間は殺すけどね」


モラ 「人間は殺したことねーよ」


「いや、人間の心を殺してるでしょ?」


返事はありませんでした。

「天気もいいことだし、散歩にでも行くか?」


寂しがり屋のモラはよく誘ってくる。


(一人で行ってこいよ)と心でつぶやきながらも

断る理由もないので、仕方ない・・・

付き合いで一緒に散歩する。


以前は一緒に歩いていても、ほとんどしゃべることがなかった。


「今日はいい天気だねー」

「空がきれいだねー」


話しかけても返事はなし。


そのうち歩く速さも違うので二人の距離もだんだん広がり、

まるで一人で散歩しているようなものだった。


何のために二人で散歩しているの?

こんなんで楽しいの?


理解できない・・・。


で、少し強くなった私は、ある日、言ってやった。


「あのさ、一緒に散歩って言うけど、私たち、何もしゃべらないじゃん」

「一緒に行く意味あるの?」


とどめは


「一人で行けば?」


それからモラは散歩の時、少しずつしゃべるようになった。

だったら最初からしゃべればいいじゃん・・・。


全く疲れる・・・。