なかなか離婚を決意できずにいた私が

離婚を決めた瞬間。


それは不思議な出来事だった。


その頃の私は元夫に対して憎しみしかなかった。


体の具合が悪いことを理由に(高血圧、心筋梗塞等)

働くことをせず、

借金を繰り返しては、バカラ、麻雀等、博打の毎日。

私も多額の借金を背負わされていた。


その日は確か、日曜日。

朝、10時頃だったのではないだろうか。

私はまだ布団の中にいた。


すると隣の部屋から聞こえてくる元夫の声。

電話をしている。

またお金を借りる話だ。


「また借金の話・・・」

「アンタはいつまでそんな生活をするんだよ・・・」


私は布団から抜け出し、

そのまま台所へ向かい、包丁を取り出した。

そして、能面のように何の感情ももたない顔のまま

ソファに座っている元夫に向かって突進した。


グサッ!


包丁は元夫のでっぷり太ったお腹に突き刺さった。


「あ・・・とうとうやってしまった・・・」


そこで私は目がさめた。

布団の中にいた。

しかし、元夫を刺した感触がしっかり手に残っている。


夢なのか・・・?

本当に元夫を刺してしまったのか・・・?


隣の部屋から元夫の声が聞こえてきて

はじめてこれが夢なのだと分かった。


あぁ、ここまで私は元夫を憎んでいたのか・・・。


自分自身が怖くなった。

本当に殺してしまうかもしれない。

そう思った。


そして、この数ヶ月後に私は家を出た。