みなさん、こんにちは。先日、日本キャリアデザイン学会に提出させて頂きました小論文を掲載させて頂きたいと思います。みなさんの忌憚ないご意見をお待ちしております。
メンタルへルス疾患 昨今メンタルヘルスは企業で取り組むべき大きな課題のひとつとなった。厚生労働省によるとメンタルヘルスは様々な種類のこころの病気であり、入院、通院している患者は平成20年に323万人におよぶ。その原因は様々であるが、「自分自身によるストレスへの対処が予防となる」と厚生労働省は呼びかけている。つまり、メンタルヘルス疾患の大きな原因は、自分が置かれている環境や境遇をどのようにとらえるかという自分自身の気持ちのあり様となる。このメンタルヘルスの対策について論じたい。 キャリアデザイン キャリアデザインとは1.自己理解をし、2.約5年先のキャリアビジョンを明確にし、3.キャリアパスを作成する3ステップと定義する。つまり、過去の自分を振り返って5年先の自分像を描くことによって、今の業務の意味と学ぶべき必要なスキルを明確にするのである。5年としている理由は、ライフステージなどの環境変化によりキャリアビジョンが変化するため、キャリアデザインはキャリアの節目で再設計するものであり、より近い将来に向けたキャリアパス作成が有効だと考えられるからである。キャリアデザインを行うと自分のビジョンが明確になり、意志力をもってキャリアビジョンを達成することとなる。キャリアデザインで明確になった目標や欲求があれば、人は意欲的に行動したり、誘惑をはねのけるモチベーションがあがる。つまり、キャリアデザインを行い、明確なビジョンを描き、意志力をもって日々の業務に従事している場合は、新しい環境に身を置いたときのショック・拒絶・後悔などのストレスに対応できることとなる。 事例 ある一部上場の大企業に設置されているキャリア相談室のキャリアカウンセリングの実例をあげる。2つの事例は個人情報保護のために一部修正を行っている。 入社16年目、38歳のA氏。大卒後地方勤務を13年経験し、東京本社に勤務することになった。東京生活に慣れるのに家族共々苦慮し、次第にうつ状態、不眠状態なる。そこへ突然の出向転勤の話が舞い込み、A氏はどう対処してよいか不安に陥った。A氏はキャリア相談室に対処方法を相談した。キャリアカウンセリングを通じ、将来のキャリアビジョンとキャリアパスを描けるようになり、出向の意味づけを肯定的にできるようになった。結果、精神的にも安定感が得られるようになった。 入社5年目、45歳のB氏。大卒後大企業に就職し、40歳で現在の同業界の会社に中途入社した。豊富な職務経験から有能であり、短期で昇格もしたが、最近の人事異動でライン長につけず、本人は不本意で納得がいかない人事に不愉快な気分となる。この不本意な異動が強いストレス原因となり、次第に抑うつ状態になる。キャリア相談室のカウンセリングでは自分の思いを吐露し、感情を発散させ、次第に気持ちを落ち着かせることができた。キャリアパスにおいてライン長だけがすべてではないことに気づき、自分の今後の役割を認識することができた。 結び この2つの事例から、うつ状態の会社員に対し、キャリアを整理することは心の健康回復に有効であるといえる。今後のキャリアについてデザインし、将来のキャリアに対する不安、焦りを少しでも軽減することはメンタルヘルスの予防の一つの方法となると考えられる。この報告ではキャリアデザインはメンタルヘルス予防に寄与するとの結論に至った。メンタルへルス患者の減少に向けて、キャリアデザインの研修やセミナーが従業員に対し徹底して行われるよう企業や団体に対する法の整備について国への要求もするべきであると考えている。
2014年2月キャリアデザインファクトリーという活動を立ち上げた。この活動は「やりたいことを仕事にしている人は自分らしく幸せな人生をおくることができ、他人を羨んだり妬んだりしない。そんな人が世の中に増えれば、よりよい社会となる。そんな人を増やしていく一助となりたい」との願いから生まれた。 先ほどより述べてきたとおり、キャリアデザインはメンタルヘルス予防に寄与すると考えおり、今後もセミナーの開催を通じて、多くの人が健康でやりがいをもって仕事に取り組むことのできる社会づくりの支援をしていきたいと考えている。 |
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