shiro's nest -68ページ目

花の香

惨めな高原の花

誰にも愛でられぬ 孤高の処女


勘違いなステップで潜り込む若人

若さは溢れるものの
気にも留めぬ無邪気さで

草とも 花とも知らず蔓を引く



確かな女の香を残し

朽ちゆく花の なんと美しいことか




しろ

ドッペルゲンガー

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友よ、あなたはこう言った。

『この垂直の崖を走って降りることができたなら、
私は生きることにしよう』

友よ、私はこう言った。

『この崖を下ろうとする友よ、
この崖を下れようはずもない。
たちまち滑落してしまう。
友よ、あなたはなぜ降りるのだ』



友よ、あなたはこうも言った。

『この大河を泳いで源流まで遡れたら、
私は生きる希望をもとう』

友よ、私はこう返した。

『この大河に挑もうとする友よ、
大河の河口は渦が巻く。
どんなに泳ぎがうまかろうと、
誰しも渦を越えられまい』



友よ、どうして挑まなかった?

友よ、私のせいにするのだろうか?


軽挙妄動にその身を預ける、わが友よ、

そろそろ帰ってこい。

私の半分を埋めておくれ。

友よ、今度はあなたの思うとおりでいい。

共に生き、共に朽ちよう。

カケラのハートマークじゃ、誰にも、何も返せないんだよ。





しろ

地平線を追いかけて

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ただ訳もなく走り出す

駆け足のテンポはエンドレスなマラソンスタイル

麦藁帽子を追い越して ビーチサンダルはほっぽりなげて



駆け足は段々速くなる

ダックスを追い越して ボルゾイに追い付いて

エアプレーンにブンブンと手を振って



追い越す必要がなくなると どこにいるのかわからない

ジャック・マイヨールはあれほど潜った海では死ななかった

あんなチキンゲームはすべきじゃなかった

孤独だったんだ

ひとりじゃ進む理由もない

深海の孤独

真理は砂漠みたいになにもない



やっとわかる 物分かりの悪いランナーにも

僕には翼がなかった

僕はこの星で一番のランナー

翼の生えない普通のランナー



限界はある かりそめの限界は延ばせる

それだけなんだ



ただ走れ

目の前が真っ白になるまで

光に届くように

原子に帰るように





しろ