「剣ィ~、登ったぞォ~!!」

てっぺんに着いた。

ここは紛れもなく、名峰の頂。てっぺんだ。
去る先週の金曜日、僕は思った。

「今の状態は正直言ってしんどい。

それは当然。抗がん剤を体に入れているのだ。

しかもこの状態はこの先、半年間は続く。

だが、もし今の状態で山のてっぺんに立つことが出来たなら、僕は何を感じるんだうか…」

そう思った瞬間から、ある名峰が頭をよぎる。

「剣山」…ここだな。

標高1955㍍、中四国第二位の高さを誇る「剣山」。

「日本百名山」にもその名を連ねる名峰だ。

しかし…

さすがに約2000㍍級の名峰を、一人病み上がりの体で登ることは許された行為ではない。  

しかも季節は冬。

だが、どうしても行きたい…いや、むしろ今行かねば…。

思い立ったが吉日。

弟に事情を説明し、「付き人」として登山に同行してもらった。

そして…

本日12月4日。

早朝6:00、気温0℃の中登山開始。

体調のことも考え、比較的一番楽なコースである「大剣道コース」を選択。

このルートは途上に、「大剣神社」を経由する。

「天地一切の悪縁を断ち、現世最高の良縁を結ぶ」と伝えられている大剣神社。

ここは、とても神秘的な雰囲気の聖なる場だ。

そしてこの旅において、今の僕にとってどうしても必要な「あるもの」を探すことにした。

「病気が治る若返りの水」という云われもあり、日本の名水百選にも選ばれている「御神水」だ。


その名水は、大剣神社の下方にて静かにそして穏やかに僕が来るのを待っていてくれた。

参拝を済ませ、御神水を口に含み有り難く頂く。

また、この場所から空を見上げると、御神体である「大剣岩」がそびえるように佇んでおり、その姿は正に圧巻であった。

神の山…

そう呼ぶに相応しい山、それが僕なりの剣山の印象だ。

大剣神社からしばらく登ると、視界が一気に開けた。

「剣」の頂、てっぺんだ。

山頂からの絶景を前にし、心静かに目を閉じる。

そして…

「大丈夫だ。僕は今、生きていることを感じる」

旅の答えだ。


剣のてっぺんにて…

我思ふ、故に我あり。