①の続きです。
僕が高校生になると、新たな地獄が始まりました。
毎日のように僕を奴隷のように扱った兄も大学生になり、東京で一人暮らしを始めました。
まさにその決定がなされたときは、天国の扉が開かれた感覚でした。
しかし、そんなことはなかったのです。
兄は私立の名門早◯田大学に進学しました。私立なのでそれなりに学費もかかり、そこまで裕福ではない僕の家には厳しいものでした。
父と母は必死に働き、普通の生活は出来ていました。
そんなある日、母に癌が見つかりました。
乳癌でした。そこまで進行はしていなかったのですが、すぐに治療が始まり手術も行いました。
そんな中でも父と母は必死に僕らのために働いてくれていました。
しかし、更なる悲劇が訪れました。
母が今度は鬱病になってしまいました。
学費のことや、自分の癌のことなどの精神的プレッシャーに心が潰されてしまったのです。
そして、壮絶な地獄が再び始まりました。
鬱になった母は働くことが出来なくなり、一日中家でゲームをしたり、こたつで寝たりするようになりました。
もちろん何の意欲もわかないので、掃除、洗濯などの家事も一切しなくなりました。
父はなんとか1人で店を切り盛りして、家事もしてくれていましたが、次第にストレスも溜まり鬱病の母に怒鳴るようになりました。
僕も家事を手伝ったりしましたが、家族は崩壊の一途を辿り始めました。
鬱になった母は、もう昔の母の面影はなくなりました。みるみる太り、散らかった部屋でタバコを吸い、何時間も氷を食べ続け携帯ゲームをいじり、なにも言葉を発さなくなりました。
口を開くと僕や父に対して文句をいい、僕らの説得も聞かずタバコと氷をせがんできます。
そんな別人と化した母に対して、僕らは深い悲しみと怒りを覚えました。
だんだんと家族の喧嘩も増え、怒鳴り声はしょっちゅう聞こえ、家の中は荒れ果て、借金は膨らみ、母は自殺未遂を三回し、父親も死にたいと言いだし、だれも声を発さないようになりました。
そして僕が大学に進学して一年。
バイト先の女性に惚れ、付き合い始めました。その女性が現在の奥さんです。
それまでとにかく悲惨な生活をしていたため、無意識に彼女に助けを求めていたのか、彼女といると救われるような気持ちになりました。
彼女に家族のことを相談すると、彼女は親身になって僕のことを応援してくれました。
そんな僕の様子を見ていた母と兄は、彼女に対して悪口を言うようになりました。
僕を救ってくれた彼女の悪口を聞くのが耐えられなくなり、とうとう家を出て彼女と同棲を始めました。
家を出るときにものすごく文句を言われましたが、疲弊しきった僕にはもうなにも聞こえませんでした。
はじめて実家を離れて彼女との同棲。
本当に毎日が幸せでした。
しかし、そんな幸せも束の間。
次なる試練が始まりました。