ガラスを割れー暗殺者たちの鎮魂歌ー9 | じゅりれなよ永遠に

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じゅりれな・坂道小説書いてます。

内藤の話に

玲奈は静かに耳を傾けいてた。

 

「そう・・・そんなことがあったの。」

 

彼女の口から漏れた言葉は、

深い悲しみを帯びていた

 

内藤は苦渋に満ちた表情で続ける。

 

「今の友梨奈は危険すぎる。

このままでは…

いずれ大きな問題を起こすだろう。

だから…」

 

内藤は言葉を切り、

玲奈の目をまっすぐ見据えた。

 

「頼みがある。

友梨奈を…楽にしてやってくれ。」

 

内藤の言葉に、

傍で聴いていた麻衣と匠は息を呑んだ。

 

麻衣は顔を青ざめ、口元を押さえている。

 

匠は信じられないといった表情で、

内藤と玲奈を交互に見ている。

 

だが玲奈の表情は微動だにしなかった。

 

彼女の瞳は、

内藤の言葉を静かに受け止めている。

 

長い沈黙の後、玲奈は低い声で言った。

 

「断るわ。内藤さんも老けたんじゃない?」

 

内藤は驚きで目を見開いて発言する

 

「なぜだ?お前ならわかるだろう?

今の彼女は…」

 

「わかっているわ。」

 

玲奈は内藤の言葉を遮った。

 

「彼女が苦しんでいることも、

危険な状態であることも。

でも、友梨奈は、そんな弱い子じゃない。」

 

 

内藤は反論しようとしたが、

玲奈の強い意志を感じて言葉を失った。

 

「彼女は今、道に迷っているだけ。

暗闇の中で、出口を探しているだけなの。

私たちがすべきことは、

彼女を暗闇に突き落とすことじゃない。

光を見つける手助けをすることよ。」

 

麻衣は玲奈の言葉を聞いて目に涙を浮かべた。

 

その涙は、悲しみではなく、希望の涙だった。

 

匠も、固い表情を少し和らげ、

どこか安堵したような表情を浮かべた。

 

「お前…」

 

内藤は言葉を探した。

 

「お前は本当に…変わらないな。」

 

「私は、私よ。」

 

玲奈はかすかに微笑んだ。

 

その微笑みは、かつての冷酷なものではなく、

優しさを帯びていた。

 

玲奈は立ち上がり、内藤に背を向けた。

 

「私は友梨奈を支える。

彼女が再び光を見つけられるように。

それが、私が彼女にできること。

そして、私がすべきこと。」

 

玲奈は麻衣と匠に軽く会釈し、店を出て行った。

 

チリン、とドアベルが静かに鳴った。

 

内藤は再び深い溜息をついた。

 

玲奈の言葉は、彼の心に重く響いていた。

 

友梨奈を暗殺するという選択肢は、

確かに最も簡単な解決策だったかもしれない。

 

しかし、玲奈の言葉は、

彼に別の可能性を示していた。

 

それは、困難ではあるが、

より希望に満ちた可能性だった。

 

麻衣は内藤に近づき、優しく声をかけた。

 

「友梨奈を倒したことがあるって聴いていたから

玲奈さんってもっと冷酷な人かとおもっていたけど

優しい人ですね。」

 

 

匠も頷いた。

 

「ああ。あいつなら、

きっと友梨奈を立ち直らせてくれる。

大丈夫だ。」

 

内藤は二人の顔を見回し、小さく頷いた。