私は理佐さんが待つ場所へ向かった
車で走ること1時間。
港に着くと私は理佐さんに電話する
「着いたよ。」
「ショッピングモールの裏口の海辺にいます。」
私はその場所へ急いだ。
辺り街灯が薄暗いので
近くまで行かないと人物の特定が難しいが
私はすぐに理佐さんを見つけた。
「友梨奈さん・・・ごめんなさい。呼び出して。」
「気にしないで、あのまま終わりにしたくなかったから
呼び出してくれて嬉しいよ。」
「信じて貰えないと思いますけど
私は友梨奈さんが大好きです。」
理佐さんは大粒の涙を流した。
これには深い事情があるに違いない。
私は腹をくくった。
「覚悟はできているから、何でも話して。」
私の言葉に理佐さんは静かに語りだすのであった。
「私ね、親と喧嘩して家を飛び出してきたんです。
高校を卒業して音大にいきたかったんですが
お金もないし、私には才能がないから
普通の大学に行けって言われたんです。」
私と一緒だ・・・
私も親と喧嘩して大阪に出てきたんだ。
「だから、私は大阪に身を置いて
バイトしながら音楽教室に通っていたんです。
でも生活するだけで大変で
音楽教室へも通えなくなり
私はもうどうしたらいいの分からず
この南港に来て泣いていたんです。」
理佐さんは相当苦労したようだ。
「すると、一人の男性が私に声をかけてくれたんです。
それが、この間友梨奈さんが見た男性、
生田さんだったんです。
彼は色々なところに連れて行ってくれて
今まで見たことのない景色を見せてくれました。
心が弱っていた私はいつのまにか
彼の虜になっていました。
そして、1ヶ月経過したとき
ある仕事を持ち掛けてきたんです。」
まさか、生田さんは
理佐さんにも闇の仕事をさせていたのか?
「生田さんはある物をある人物に渡してほしいと
依頼されました。
直感でそれは犯罪に係るものだとわかりました。
でも、その仕事をするだけで
月々30万のお金をもらえて
あのマンションも用意してくれたんです。
私はすぐに音学の勉強を再会しました。
そして、はれて音大に入学することができたんです。」
私は話しを遮ることなく静かに耳を傾けていた・・・