理佐が部屋に帰ると、
玄関の前に一人の男が立っていた。
彼は理佐の婚約者、松田翔太だった。
彼は理佐の父親の部下で父の勧めで
会うようになり、交際に発展し
その3か月後に婚約したのだ。
そして結婚まであと半年と迫っていた。
翔太の訪問に理佐は一瞬驚いたが、
すぐに冷静さを取り戻した。
「翔太、来てたの?
今日は遅いっていったじゃない。」
理佐は静かに言い放った。
翔太は微笑みながら答える。
「仕事が早く終わったから、そろそろ
結婚式のことを具体的に決めていきたいんだ。」
理佐は心の中で複雑な感情が渦巻いていた。
友梨奈との時間が特別だっただけに、
翔太の存在が現実を突きつけるように
感じられた。
「そうよね・・・」
理佐は微笑みを返しながら、
部屋の中に翔太を招き入れた。
父の勧めで付き合い、婚約までしたが
本当にこの人でいいのかと、葛藤する自分がいた
そんな中、友梨奈と知り合い、
理佐の心は揺れていた
ふたりはリビングで話をしながら、
理佐は心の中で
友梨奈との時間を思い出していた。
翔太との交際は安定していたが、
友梨奈との関係が彼女にとって
新たな感情を呼び起こしていた。
「理佐、何か悩んでいることがあるのかい?」
翔太が心配そうに尋ねた。
理佐は一瞬言葉に詰まったが、
すぐに微笑んで答えた。
「大丈夫よ。ただ、少し疲れているだけ。」
翔太は優しく理佐の手を握りしめた。
「無理しないで、いつでも話してくれ。」
理佐はその言葉に感謝しながらも、
心の中で友梨奈への思いを抱え続けた。
彼女の心は、ふたりの間で
大きく揺れ動いていた。