そして、咲子が買いものに出かけてから
1時間が経過した・・・
咲子が帰ってきた。
「只今。理佐。」
「おかえり、お母さん・・・え??」
理佐は驚いていた。
そう、咲子の後ろに派手な服を着た
30代前後の男性が2名はいってきたのだ。
「理佐…お願いあるの…私の為に
この人たちの元で働いてくれないかい…」
咲子は理佐を見つめて怪しい笑みを浮かべた
「どう云うこと??お母さん!」
理佐は咲子の右手首を両手で掴んだ。
「ごめんよ…実は借金が200万程あって、
返せないんだよ。この人たちが
いい仕事を紹介してくれるから
働いてくれないかい?」
すると、男の一人が口を開いた。
「ほぉ~あんたの娘にしちゃあ~
上玉じゃないか!
これは稼いでくれそうだなあ!」
そう、咲子は借金の肩に理佐を風俗に
売り飛ばそうとしていたのだ。
その瞬間、
理佐の首が下がり一瞬目を閉じた・・・
そう人格が入れかわったのだ。
これ以上母親の裏切り行為を
聞かせる訳にはいかないと思った友梨奈が
15名いる人格の中で
菅井友香を理佐と入れ替えたのだ。
「わかったわ。お母さん。私、働くわ。」
「本当かい??ありがとう!理佐!」
咲子は理佐に抱きついた。
2年前に警察から理佐は多重人格者だと
告げられていた咲子だったが、
男に夢中だったその時は気にも止めておらず
現在、人格が入れ替わっているとは
思ってもみないでいた。
「ほぉ~物分かりのいい娘で助かるよ!
じゃあ行こうか!」
理佐(人格は友香)は
男達の後ろについて部屋をでた。
「これで、借金は返せますよね??」
咲子が男達に訊いた。
「ああ!その気になれば3カ月で返せるよ。」
そう言って、男達は階段の方へ歩いて行った。
先に男二人が階段を降りようとした時だった。
理佐(人格は友香)は
隠し持っていたスタンガンで男の首に当てたのだ。
男は前の男に覆いかぶさるように倒れ込み
二人の男は階段の下へ転げ落ちたのだ。
そして、理佐は
唖然としている咲子を見て言葉を発する
「あんた!絶対に許さないからね!」
鋭い目で咲子を睨んだのだ。
この瞬間、友梨奈に入れかわったのだ。
『あんた…理佐なの??」
咲子は怯えて後ずさりした。
そして、理佐(人格は友梨奈)は階段を駆け下り
転倒している男達を尻目に走って
逃げ出したのだ。