バイトが終わり友梨奈は人格を小林由衣から
理佐にチェンジする。
そして、由衣を寝かせて理佐と二人だけになる。
「よし、明日の朝、東京へ行こう。」
「え…いいの??」
「逢いたいんだろ?」
「うん…逢いたい…」
理佐が小さい頃母親から虐待が続いていたが
ある時に友梨奈の人格が宿って以来
友梨奈が入れ変わって虐待を受けていた。
泣き叫ぶこともなく、ただ、黙って耐える姿に
母親である、咲子は
次第にこのままではいけないと思い、
中学生になる頃には虐待はなくなっていた・・・
だが、仕事は夜の水商売の仕事をしており、
夜遅く帰ってくることがほとんどで
そのうち、男にだらしなくなり
貢いでは捨てられるの繰り返しであった。
こんなだらしない母親でも
抱きしめられた時の温もりが忘れられない理佐は
大好きでいたのだ。
こうして、理佐は東京へと舞い戻ったのだった。
理佐が蒸発してから2年が経過していた
その間、なんの連絡も取っておらず
まだ、前に住んでいたアパートにいるのかさえも
知らずにいた。
「お母さん・・・引っ越していないかなぁ・・」
理佐は頭の中で会話を始めた。
「君の母親はこの土地に執着しているみたいだから
まちがいなくいるはずだよ。」
「そうだと、うれしんだけど。」
理佐は会話をしながらアパートへ到着した。
そして、2階へと上がると渡邉の表札が
目に入ったのだ。
「いる・・・お母さんは引っ越していなかったよ」
「そんなに嬉しいのかい??」
途中で虐待されるのを替わった友梨奈だが
それまでは、理佐が虐待されていたのだから
そこまで、好きでいられるのが
不思議でならなかった。
理佐はドアの前で深呼吸する
そして、少し緊張した面持ちでノックしたのだ。
すると奥から返事が聞こえてくる。
「どなた??」
ゆっくりとドアがあいた。
やがて、母親である咲子が顔を覗かした。
「お母さん!!」
理佐は目に涙を貯めて言った。
「理佐・・・どこ行ってたの。探したんだよ!」
二人は抱きしめあった。
理佐を通してこの光景を見ている友梨奈は
この空白の2年で母親の咲子が心を入れ替えて
真人間になってくれているのではと期待したのだ