最近、理佐は自分の部屋で友梨奈と
二人で食事をとることになっていた。
理佐はこの時間が一番楽しかった。
母親が亡くなって以来、人とテーブルを挟んで
食事をしたことがないからである。
でも理佐は不安であった。
友梨奈が記憶をとり戻した時に
自分の元から去ってしまうのではないかと・・
「どうしたの?」
理佐の不安げな表情を
友梨奈は読み取ったのである。
理佐は思わず口にしてしまった
「友梨奈・・どこにも行かないでね。
記憶が戻っても、私の傍にいてね」
その言葉に友梨奈は愛らしい笑顔で答える。
「大丈夫だよ
私、理佐さんが大好きだから」
友梨奈はこの半年、
理佐と接してわかったことがある。
理佐は孤独に
必死に耐え忍び愛情に飢えている。
それが故に
哀しいまでも自分の感情を表にださない。
けれど、人一倍優しく情に厚い
友梨奈はそんな理佐のことが
記憶をなくしながらも大好きである。
故にこのように
感情を自分にぶつけてきてくれたことが
非常にうれしかったのである。