(平手友梨奈side)
なんの予兆もなしに、終わりはやって来る。
絶望とはこんな気持ちのことを言うのか・・・
私の50m程先で理佐は
男性とキスをしていた・・・
理佐はキスした後、
去って行く男性を愛しい目で見つめている。
やがて、男性が見えなくなると
理佐は哀しそうな目をして
マンションに入っていった。
“信頼している人”って彼氏だったんだ・・・
キスしてたよね??
無理やりされたんじゃなくて、
お互い同意の上でのキスだった。
理佐は元カレのこと
まだ好きなんだなあ・・・
またよりを戻すんだろうか・・・
私はスツーケースを引きづりながら
来た道を引き返したんだ。
あれだけ綺麗なんだ。
そりゃ、彼氏はいたはずだ・・・
風俗だって彼の為に働いていたに違いない
なぜ、その可能性を
私は考えなかったんだろう・・・
きっと、理佐には彼氏が絶対にいないと
思い込むことによって
私にも恋人になるチャンスがあると
思いたかったんだ。
もう、旅行なんて
とてもじゃないけど行けないよ。
こうして、私は理佐のマンションから
引き返したんだ。