愛のかたまり 54 | じゅりれなよ永遠に

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じゅりれな・坂道小説書いてます。

(渡邉理佐side)

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桃李と偶然会った私は

近くの自動販売機で飲み物を買い

二人でベンチに腰掛けた。

 

「妙な所を見られたな・・・」

 

「こんな所で何していたの??」

 

「仕事だよ。営業。

 今、俺は美術用品の

販売会社に勤めてるんだよ。」

 

「え??画家は辞めたの??」

 

「趣味程度では描いているけどね。

 もう、夢は諦めたよ。

 でも、絵に携わる仕事がしたいから

 美術用品の販売会社に就職したんだよ。」

 

「本当に諦めたの??

 西野さんが援助してくれないの?」

 

「七瀬とは理佐と別れてから

直ぐに別れたよ。 

俺はあることで七瀬を利用していたんだよ。

彼女には悪いことをしたよ。」

 

私はこの桃李の言う、“あること”を

あまり気にかけていなかったが

後にそのことを知り愕然とすることに・・・

 

「そう・・・でも、

桃李がサラリーマンだなんて・・・」

 

「最初からこうすべきだったんだよ。

 俺は理佐に甘えすぎていた。

 本当にすまなかった。」

 

桃李は頭を下げた。

 

「もう、済んだことだからいいよ。

 頭を上げて。」

 

そう、私には今、友梨奈がいる。

とても幸せだ。

 

だから彼の裏切りなどもう

どうでもいいのだ。

 

「そう言ってもらえると気が楽になるよ。」

 

桃李は笑みを浮かべた。

 

「そっか・・・

桃李がサラリーマンか・・・」

 

「ああ、頑張るよ。じゃあ、俺、行くわ!」

 

桃李は立ち上がり

ゴミ箱に紙コップ捨てて

エスカレータのほうへ去っていった。

 

少し心が揺れたが、

もう彼とのことは過去のことだよ。

 

私も立ち上がり

エレベーターの方向へ向かった