玲奈は落ち着いて
言葉を発する。
「あなたは優しすぎるの
お願い・・私の為に
自分の気持ちに嘘はつかないで。」
「嘘じゃないよ!
玲奈ちゃんを失いたくないんだ。」
「あなたが平手さんとお付き合いしても
私達の姉妹の絆はかわらないよ。」
玲奈は静かに微笑んだ。
「どうして、玲奈ちゃんは
私の気持ちを理解してくれないの。」
珠理奈は泣き出した。
玲奈は珠理奈の両手を握りしめ
言葉を発する。
「ごめん・・
じゃあ、正直に言うね。
珠理奈が平手さんとキスしたって
私に言ったよね
でも、それって、2回目でしょ?」
「・・・・・・・」
珠理奈は絶句してしまった
「ごめんなさい・・
私が家に帰れるのが
遅い日があったでしょ?
あの日、実はあの公園で
あなたと平手さんを見ていたの・・」
玲奈は悪びれた表情になる。
珠理奈は驚いて硬直していた。
「その時にあなたと平手さんがキス
するところを見てしまったの
確かにキスをしてきたのは
平手さんだったわ。
でもあなたはそれを受け入れていた。
それがあなたの本心なの。」
珠理奈が胸の中に閉まっていた
一回目のキスを
見られていたことに
珠理奈はさらに
罪悪感が沸いてきたのだ。
そう、自分から1回目のキスを
告白していれば、
隠し事はしていないことになる
しかし、玲奈が既に知っていること事態
玲奈に対して最大の裏切りになるのだ。
「ごめん、ごめんなさい
私は玲奈ちゃんを
裏切ることばかりしてました。
でもお願い!嫌いにならないで
お願いします。」
珠理奈は頭を深々とさげた。
「やめて。」
玲奈は珠理奈を抱え起こして
そして抱きしめた
「ごめんね・・・意地悪なこと言って。
珠理奈のことを嫌いになんかならないよ。
大好きだよ!今でも・・・
だからこそ今の自分の気持ちを
素直にさらけ出して欲しいの
お願い珠理奈。」
玲奈は力いっぱい珠理奈を抱きしめた。
(松井珠理奈side)
この瞬間私は玲奈ちゃんを失ったんだ
たしかに友梨ちゃんのことは好きだ
でも・・・でも・・・
私はそれでも玲奈ちゃんが一番なんだ
無茶苦茶なのは分っている
それでも、一番愛しているのは、
玲奈ちゃんなんだ
でも、これは報いなんだ
玲奈ちゃんを裏切った
私は知らないところで
たくさん玲奈ちゃん心を
傷つけていたんだ
私のキスを目撃し、また違うキスを
私から報告されたときの玲奈ちゃんの
心を想像しただけで辛くなるよ
私は最も愚かで罪深い人間なんだ
ごめん・・・玲奈ちゃん・・
だったら、私は玲奈ちゃんが
安心できるように
友梨ちゃんとつき合うのがいいのだろう・・・
でも・・・でも・・・
私は世界で最も大切な人を失ったんだ・・・・
(第三者視点)
その後珠理奈は玲奈とどのような会話を
しかた覚えていない。
ただ、大切なものを失った喪失感で
一人街をさまよっていたのだ。
空を見上げると半月が
顔を覗かしている・・
珠理奈は優衣の演奏する
ハーフムーンセレナーデ
を思い出していた。