TWO ROSES ~ハーフムーンセレナーデ~ | じゅりれなよ永遠に

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TWO ROSES

 ~ハーフムーンセレナーデ~

 

過去のエピソードは下記からどうぞ

 

TWO ROSES 

TWO ROSES ~危険な妹~

TWO ROSES ~愛が止まらない~

TWO ROSES~狂気の愛~ 

TWO ROSES~嫉妬~

TWO ROSES ~この世の果て~

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登場人物紹介

松井玲奈19歳

幼い頃心臓病で1年間入院し

珠理奈と同学年になる。

 

松井珠理奈18歳

玲奈とは血の繋がりがないが

家庭で仲のいい姉妹を演じている

玲奈のことを深く愛している。

 

平手友梨奈18歳  

玲奈たちと同じ高校に通う女子高生

バイオリンの才能に長けている

 

渡邉理佐18歳

玲奈達と同じクラスで良き理解者

 

赤西和戸18歳

珠理奈に気がある高校生

 

田口直人18歳

玲奈に気がある高校生

 

松井良子47歳

珠理奈の実の母で玲奈の義理の母

 

松井信一49歳

珠理奈の義理の父で玲奈の実の父

 

 

 

 

 

9月の半月の夜、ひとりの少女がバイオリンを

もち公園にやってきた。

 

彼女は死んだ父親が

バイオリンの演奏者であり、

その影響で小さい頃から

バイオリンを演奏している。

 

彼女の名前は

平手友梨奈18歳の高校3年生。

 

友梨奈は

バイオリンケースから楽器を取り出し

公園で演奏を始める。

 

友梨奈は

三度の食事よりも演奏が好きなので

 

暇があればバイオリンを

演奏しているのだ。

 

彼女のかもし出す音色は

美しくて静寂である。

 

近くでその音色を聴いた人は

その場で立ち止まり心を奪われ

 

まるで、広大な海をひとり

仰向けで浮かんでいるような

錯覚に陥ってしまう。

 

この友梨奈のバイオリンに

魅せられたのが

 

空手の稽古の帰りにまっすぐに帰らず、

体力をつけるために

この公園でランニングをしていた

 

松井珠理奈だった。

 

 

珠理奈はその音色の他に

驚いたことがあったのだ。

 

平手友梨奈が玲奈に似ているのである。

 

色の白さ、どことなく儚げでひ弱

そして抜群な透明感。

 

珠理奈は暫く

友梨奈の演奏を聴いていたのだった。

 

(なんだろ・・・この心地よさは

 目をつぶると海に浮かんでるようだよ・・)

 

珠理奈は瞬く間に友梨奈のバイオリンに

引きつけられた。

 

演奏が終わると珠理奈は思わず

拍手をしてしまったのだ。

 

友梨奈はその音にびっくりしている。

 

「ごめん、驚かせて・・・」

 

「いえ・・・」

 

「凄いよ。あなたの演奏。

 素人の私でも感動したよ。」

 

珠理奈は興奮が冷め止まなかったのだ。

 

「ありがとうございます。」

 

友梨奈は軽く珠理奈にお辞儀をする。

 

「ごめんね。

練習の邪魔して・・・それじゃ!!」

 

珠理奈はその場を走り去っていった。

 

思えば、この日にランニングしていたのが

間違いの始まりだったかもしれない・・・