玲奈は静かに立ち上がり稲垣に訊ねる。
「爆弾で死ぬ気なんですよね・・
珠理奈はここにいても
無事なんですか?」
「この家が吹っ飛ぶぐらいの爆弾だから
無事じゃすまないね!
心配しなくていい珠理奈には生きてもらうよ!
僕と君が死んだところを
生きてその目で見てもらわないと・・・ククク」
稲垣は歪んだ笑みを浮かべて
珠理奈の元に近づき抱きかかえた。
「安全な場所につれていくよ!
君はそこでまってろ!」
玲奈は稲垣を信用するしかなかった。
稲垣はドアを開けて外に珠理奈を連れだした。
あたりは、野原が一面に広がっており
珠理奈を家から50m離れたところに置き
再び家に戻った。
そう、今から稲垣の言う
この世の果てに行く儀式が始るのだ。
「先生・・珠理奈は??」
稲垣が戻ってくると、
玲奈はすぐに尋ねた。
「心配するな・・50m先に置いてきたよ!
もう、安全だ!さあ、2階へあがれ!」
玲奈は指定された2階の真ん中の部屋に
入っていった。
連れてこられた場所は
6畳一間のなにもない部屋だった。
稲垣は手錠を取り出し、
玲奈の左手を
クローゼットのハンガーをかける
金属部分につないだ。
「さあ、玲奈、僕とこの世の果てにいこう!」
稲垣は時限爆弾を取り出した。
そして、玲奈の手の届かない場所に
それを置いた。
稲垣は玲奈の顔をのぞき込むように
「もうすぐ僕たちは一つになれるんだ!」
稲垣は爆弾のスイッチを押した。
するとタイマーが動き出した。
そう、あと5分で爆弾が爆発するのだ。
稲垣は笑いだした。
これで、玲奈と結ばれる!
稲垣は喜びに満ちあふれていた。
その頃家の外に放り出された、
珠理奈が強靱の精神力で目を醒ましていた
しかし、体がゆうことを利かず
立つこともできない。
珠理奈は思い切り叫んだ
「うわあああああああ!」
そして、自分の左手の小指を
強引に反対方向に曲げ
指を骨折させたのだ。
その痛みが全身をかけ巡り
なんとか、体の自由がきいたのだ。