風呂場に入った珠理奈は浴槽につかりながら、
物思いにふけっていた。
そう、ますます美しくなる玲奈の
ことを考えていたのだ。
(明日の夜まで、玲奈ちゃんと二人きりか・・・
理性を保てよ!わかったか!珠理奈!)
自分に言い聞かせるのであった。
そんなときだった、玲奈の声がしたのだ。
「珠理奈・・・いっしょにはいっていい?」
なに冗談を言っているのだろうと
思った珠理奈だったが、
扉のスリガラス越しに
玲奈が服を脱いでいるのがわかった。
「ちょ・・ちょっと、玲奈ちゃん・・
もうすぐ上がるから、待ってて!」
珠理奈は慌てた。
珠理奈と玲奈は中学の途中までは
一緒にお風呂に入っていたが、
玲奈が病気をして以降、
一緒にはいったことがなかったのだ。
珠理奈の制止も聞かず、
玲奈は風呂場のドアを
開けて入ってきたのだ。
珠理奈は浴槽に浸かったまま、
後ろ向きになった。
玲奈は一糸纏わぬ姿で
珠理奈の前に立ちはだかっていた。
「・・・れ・・玲奈ちゃん・・冗談はやめてよ!
本当に、もう上がるから!」
珠理奈は後ろを向いたまま立ち上がった。
「・・・どうして、こっちを向かないの?」
玲奈が物悲しい声で言った。
「・・だって、一緒に入るのって、
久しぶりじゃない・・
恥ずかしいよ・・」
「嘘・・・・私のこと嫌いなの・・・?」
玲奈が弱々しい声で言った。
「そんなことあるわけないじゃん!」
珠理奈は語尾を強めた。
「じゃあ、私を見て・・・珠理奈・・お願い!」
「・・・・・・・・」
すると珠理奈は一旦目をつむり、
決心して目を開け、そして振り向いたのだ。
珠理奈の目の前には玲奈の美しい裸体が・・・
しかし、珠理奈の視線は一点に集中していた。
それは玲奈の左胸であった。
その乳房の少し上には
中学生のときに患った心臓病の
手術で切った跡が残っているのだ。
珠理奈はその傷を見ると目を背け、
辛そうな表情になる・・
そして・・
嗚咽し、そのまま座り込み号泣した。
珠理奈はその傷をみると
言いようない罪悪感に襲われる為に
玲奈とは風呂にはいりたくなかたのだ。
玲奈はそんな珠理奈を悪夢から
解放してあげたいと思っている。